eぶらあぼ 2024.1月号
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第263回 土曜マチネーシリーズ 1/20(土)第263回 日曜マチネーシリーズ 1/21(日)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp3/16(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net クァルテット・ウィークエンド 2023 - 2024クァルテット・エクセルシオ × カルテット・プリマヴェーラ室内楽ファン注目のシリーズでベテランと若手実力派が競演 弦楽四重奏は小さなオーケストラと言っても良い。ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ各1による弦楽器4人編成で作り出される音楽は、時にそれぞれのパートを繊細に浮かび上がらせながら、一緒に演奏する時には大きなうねりを作り出し、作曲家の持つ音のイメージを訴えかけてくる。第一生命ホールで展開される「クァルテット・ウィークエンド」では、日本だけでなく世界各地からやって来た団体が、その豊かな世界を教えてくれている。 3月16日の公演では日本を代表するクァルテット・エクセルシオと注目の若手グループであるカルテット・プリマヴェーラが共演する。日本では珍しい常設の弦楽四重奏団として多彩な活動を行うクァルテット・エクセルシオはハイドンの第79番「ラルゴ」を、カルテット・プリマヴェーラはチャイコフスキーの第1番を演奏し、後半ではメンデルスゾーンの傑作である弦楽八重奏曲を共演する。 ベテランの域に入ったとはいえ、エクセルシオの演奏は常に新鮮な視点を持ち、作品の奥にある真価を目指す。桐朋学園大学在学中の2021年に結成されたプリマヴェーラは、それぞれが高い実力を持つ注目の団体。第セバスティアン・ヴァイグレ ©読響 最後は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。ベートーヴェンは、ウィーン郊外を散歩し、その自然に親しむことによって、この交響曲のインスピレーションを得た。ヴァイグレはホルンの名手であり、この牧歌的な交響曲を見クァルテット・エクセルシオ事に再現してくれるに違いない。また、新しい世代の名手の加入によって魅力を増した読響の木管陣の活躍にも注目である。全体を通して、ドイツ出身の作曲家の作品による、ウィーンにちなんだコンサートともいえるであろう。ダニエル・オッテンザマー ©Andrej Grilcカルテット・プリマヴェーラ ©Ayane Shindo2楽章が「アンダンテ・カンタービレ」として知られるチャイコフスキーの名作を、新しい世代の視点から見つめ直してくれるに違いない。メンデルスゾーンでは一人ひとりの役割も重要となる。アイディア満載のその楽しさを、間近で体験しよう。文:片桐卓也57セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団名匠の「パストラーレ」と巧者によるコンチェルトで充実の午後のひとときを文:山田治生 読売日本交響楽団の常任指揮者であり、現代ドイツを代表するマエストロの一人であるセバスティアン・ヴァイグレが同楽団の土曜と日曜のマチネーシリーズで得意のドイツ音楽によるプログラムを披露する。まずは、ウィーン・フィル(の前身である宮廷歌劇場管弦楽団のメンバーによるフィルハーモニッシェ・アカデミー)の創設者として知られる、作曲家であり指揮者でもあったオットー・ニコライの代表作である歌劇《ウィンザーの陽気な女房たち》から序曲。そして、ウィーン・フィル首席クラリネット奏者であるダニエル・オッテンザマーを迎えてのウェーバーのクラリネット協奏曲第2番。父親でやはりウィーン・フィル首席クラリネット奏者であったエルンスト・オッテンザマーからウィーンの伝統を受け継ぐダニエルの妙技が楽しみである。ちなみに彼の弟であるアンドレアス・オッテンザマーはベルリン・フィルの首席クラリネット奏者を務めている。

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