eぶらあぼ 2024.1月号
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1/14(日)15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp2/25(日)15:00 高崎芸術劇場 音楽ホール問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900 http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/Music Program TOKYO シャイニング・シリーズ Vol.13東京文化会館チェンバーオーケストラコンクールに名を残した腕利きたちが音楽の殿堂に集結! 2003年から東京文化会館で開催されてきた東京音楽コンクールは、数多くの才能ある若手を発掘してきたことで知られている。同コンクールは、入賞者たちに演奏機会を提供し、彼らの成長を見守っていく点でもユニークだ。東京文化会館チェンバーオーケストラは、そういった趣旨のもと、同コンクール入賞者を中心に編成されたアンサンブルである。コンサートマスターの依田真宣も第4回の入賞者。1月14日開催のシャイニングシリーズVol.13は、21年より同館音楽監督をつとめる野平一郎が指揮を担当、コンクールで巣立った若手たちの「今」を堪能できる。 プログラムはいずれもソリストの入る曲で、ソロは全員コンクール入賞者がつとめる。モーツァルトの名作、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲では、前田妃奈と田原綾子というコンクール優勝者が出演。現在躍進中のふ高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Mastersシリーズ vol.7伊藤 恵 ピアノ・リサイタルレジェンドがいま改めて向き合う、ベートーヴェン後期三大ソナタ 高崎芸術劇場の芸術監督、大友直人がプロデュースする「T-Mastersシリーズ」は、日本を代表する名手を招き、響きのよい音楽ホールで“円熟の極み”を味わう演奏会。 2月25日のvol.7には、名ピアニストであり、東京藝術大学教授として多くの優れた後進を育てる伊藤恵が登場する。しかも演奏するのは、若き日にザルツブルクとハノーファーで学び、ドイツものを得意とする彼女が特別な存在として向き合い続けるベートーヴェン。その後期三大ピアノ・ソナタという、究極のプログラムが用意されている。 かつてリサイタルで第32番のピアノ・ソナタを演奏し終えた伊藤は、「私は写経をしたことがないけれど、このソナタを弾くのは、まるで写経をしているような感じ」と話していた。今回はそこへと続く第30番、第31番も併せるという、ベートーヴェンのピアノ音楽の“終着点”に至る道も取り上げることたりだけにとても楽しみだ。野平のユニークな作品「静岡トリロジーII 『終わりなき旅』」がとりあげられるのも注目である。五人のソリスト(ヴァイオリン:篠原悠那、チェロ:加藤文枝、フルート:上野由恵、クラリネット:イシュトヴァーン・コハーン、ホルン:濵地宗)が織りなす壮麗な響きは、風光明媚な静岡の歴史とになる。真摯な演奏家である彼女のことだから、大きな決意、意気込みとともに舞台に立つに違いない。 やさしさ、あたたかさと力強さを持ち、さまざまな空気を生み出す伊藤のピアノは、どんな円熟のベートーヴェンの姿を描きだすのだろうか。そして、常に冒険心を忘れず前進しつづけるベテランが、このエネルギーあふれるマスターピースから何を見せてくれるのか、どこまでその精神世界を突き詰めるのか。まさに“円熟の極み”といえる奏者とプログラムの組み合わせに、期待が高まる。野平一郎 ©Yoko Shimazaki東京文化会館チェンバーオーケストラ ©堀田力丸文化へのオマージュにもなっている。最後に演奏されるのは、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「プルチネッラ」。ソプラノの澤江衣里とテノールの村上敏明、そしてバリトンの井出壮志朗ら、声楽界を牽引しつつある歌手たちが顔をそろえるが、全員東京音楽コンクールが見いだした逸材である。文:伊藤制子文:高坂はる香©武藤 章55

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