eぶらあぼ 2024.1月号
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第2001回 定期公演 Aプログラム1/13(土)18:00、1/14(日)14:00 NHKホール問 N響ガイド0570-02-9502 https://www.nhkso.or.jp2/12(月・祝)14:00 サントリーホール問 サンライズプロモーション東京0570-00-3337 https://sunrisetokyo.com3/16(土)14:00 大阪/ザ・シンフォニーホール問 ABCチケットインフォメーション06-6453-6000 https://www.asahi.co.jp/symphony/テージに踏み込んださまが、まざまざと感じられたのだ。 待望の再会となる1月A定期は、フランス音楽に加え、ロシア、そしてバレエがまたの主題。ラヴェルの「マ・メール・ロワ」はピアノ連弾から管弦楽化された組曲で、その後バレエにも編曲される。「ラ・ヴァルス」はオーケストラのための舞踊詩で、もともとはバレエ・リュスの依頼で作曲された。前半の「カルメン組曲」はビゼーのオペラ名作を、20世紀ロシアのシチェドリンが刺激的に料理したバレエ音楽。鮮やかに心躍る新年のはじまりである。前後に相次いで書かれた瑞々しい作品群である第1番、第2番、第4番、そして名作第5番「春」が並ぶ。 ピアノを務めるのは清水和音。日本を代表するピアニストとして常に演奏の場に立ち続ける一方、桐朋学園大学で若手の育成にも長く携わる。「ベートーヴェンのソナタ・ツィクルスのピアニストは、迷いなく和音さんしかいないと思っていた」との言葉通り、三浦の音楽性を十全に引き出し得る理想的パートナーだろう。彼らの目指す「現代最高のベートーヴェン」の開幕が待たれる。トゥガン・ソヒエフ ©Marco Borggreve左:清水和音 右:三浦文彰 ©Yuji Hori文:青澤隆明文:近松博郎50トゥガン・ソヒエフ(指揮) NHK交響楽団巧みなタクトが導く管弦楽の色彩美とバレエ音楽の躍動 トゥガン・ソヒエフとともに、N響の2024年がはじまる。多彩な指揮者を迎えるなかでも、もっとも熱いケミストリーが期待されるのがソヒエフとの1月ではないか。フランス、ロシア、ドイツと連なる3様の定期公演の筆頭を飾るのが、ビゼーとラヴェルによるAプログラムだ。 祖国ロシアがウクライナに侵攻した事態を受け、2022年の春にボリショイ劇場とトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団のシェフをともに辞任したソヒエフが、N響の指揮台に3年ぶりに立ったのが2023年1月のこと。B定期ではバルトークのヴィオラ協奏曲シェルイ版に続き、ドビュッシーの「海」とラヴェルの組曲「ダフニスとクロエ」という得意のフランス名作を指揮した。これが綿密に構築された熱演で、ソヒエフとN響の信頼と挑戦に格段の深まりがうかがえた。色濃い響きと情熱に漲るなか、近年の密度の高い音楽づくりが新たなス清水和音 × 三浦文彰 ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会 Ⅰ世代の異なる二人が手を携え高みを目指す 19世紀の伝説的ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムにちなんで創設された難関ヴァイオリン・コンクールであるハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールにおいて史上最年少の16歳で優勝し鮮烈なデビューを飾った三浦文彰。その後も確かな演奏技術と幅広い人気を背景に国内外で着実にキャリアを積み、2023年の2~3月にはウィーン、パリ、日本、ソウルでの連続リサイタルで大きな成果を挙げた。デビューから15年の節目となる2024年、三浦はヴァイオリニストにとっての聖典ともいえるベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ」全10曲の連続公演(全3回)という新たな挑戦を東京、大阪でスタートさせる。正統派ヴァイオリニストとしてさらなる成熟を遂げんとする高らかな決意表明といえるだろう。第1回公演には、ベートーヴェンがウィーンに進出して数年が経ち、音楽家としての活動が軌道に乗った30歳

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