eぶらあぼ 2024.1月号
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47フィーの《アジアの純真》、北島三郎の《まつり》など。局員たちは笑顔をきらめかせながらステージを駆け回り、髪を揺らして踊り、歌う。エレキギターやエレキベース、エアロフォン(電子サックス)など電子楽器も大活躍する。その中心にいるのが、踊り、煽り、叫ぶ内本先生だ。 副局長で、オーボエ・ピットパーカッション・シンセサイザーなど多彩な楽器を担当する3年の水野夢羅(ゆら)は笑いながらこう語った。「中学時代に駒澤のポップスを定期演奏会で見ていたのですが、初めて内本先生にお会いしたときはステージ上とはまったく違う無口な感じで、『本当にあの人だよね!?』と不安になりました」左より:能登大輝さん、内本健吾先生、前原光先生、水野夢羅さん「コンクールやマーチングは教育の教材としては最高ですが、規律や統一感を求められる。だからこそ、バランスをとる上で、対極にある自由なポップスは大事です。バランスを考えるなら、両極は離れていればいるほどいいですよね」 内本先生はそう語る。 両極端なのは先生の性分でもある。中学時代にフュージョンやファンク、ロックに目覚め、吹奏楽でもポップス演奏が大好きだった。駒澤大学吹奏楽部ではキャプテンを務め、米米CLUBのカールスモーキー石井に影響を受けて現在のように先頭に立って踊り、叫び、煽るスタイルを確立した。 だが、部活以外では寡黙で無表情。ディスコやクラブで踊ったこともない。 局長でパーカッション・バッテリーを担当し、コンガをこよなく愛する3年の能登大輝も、内本先生と初対面のときは「テンションが低くてびっくりしました」と言う。「でも、ポップスになると別人のように弾けますし、僕自身も気づいたら先生と同じように音楽に乗っていて、すごく楽しかったです」 極めてユニークな内本先生とともにポップスで観衆を圧倒するステージを披露し、前原先生とコンクールで正統派の音楽を磨いてきた駒大苫小牧。 12月10日には大きな目標のひとつ、さいたまスーパーアリーナで開催されたマーチングの祭典「マーチングバンド全国大会」に出場した。圧倒的なグルーヴを生み出すリズムセクション テーマは「カムイタイ 命の宿る樹木」。北海道ならではの、アイヌ文化をもとにしたショーだ。「小さな木が大木となっていくように、世界中の人たちがともに生きていくことで、コロナや紛争があっても、必ずいつか希望がつかみ取れるというメッセージをマーチングに込めました」 大輝はそう語る。 本番を披露をしているときは楽しそうに見えても、練習ではつらいことや悩ましいことがたくさんある。それを乗り越え、駒大苫小牧の75人はさいたまスーパーアリーナという巨大な会場にマーチングで希望の大木を描き出した。 2月11、12日には苫小牧市民会館で集大成の定期演奏会に臨む。駒澤大学附属苫小牧高校吹奏楽局Sheltiesなら、必ずや真冬の北海道であることを忘れるほどヒートアップしたステージで観衆を魅了してくれることだろう。拡大版はぶらあぼONLINEで!→♪♪♪

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