eぶらあぼ 2024.1月号
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46 それを合図に管楽器が爆発的な音を響かせ、低音が床を震わせ、パーカッションが弾ける。曲は布袋寅泰作曲の《ビー・マイ・ベイビー》。男は指揮をするわけでもなく、生徒たちの演奏に合わせてセンターで踊り、「イェイ、イェイ、イェーイ!」「フゥッ!」と叫ぶ。音圧が観客の体を揺さぶり、北海道の港町・苫小牧が熱気に溢れる――。 それが駒澤大学附属苫小牧高校吹奏楽局Shelties(シェルティーズ)、そして、センターで踊っている男こそが顧問の内本健吾先生だ。 「マー君」ことプロ野球の田中将大投手の母校としても知られる駒大苫小牧。吹奏楽局(北海道では「部」ではなく「局」の学校も少なくない)は、吹奏楽コンクールでは北海道大会に出場し、日本マーチングバンド協会の大会ではマーチングバンド全国大会に17回出場する実力校。前者を前原光先生、後者を内本健吾先生が主に指導している。お二人とも社会科の先生だ。 そんな駒大苫小牧の名物ともなっているのは、なんと言っても弾けまくるポップス演奏だ。 レパートリーは、布袋寅泰の《バンビーナ》やアース・ウインド・アンド・ファイアの《セプテンバー》、パ取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)♪♪♪コンクールに、マーチングに、ポップスに……苫小牧を熱く燃え上がらせるSheltiesを見よ! 会場に流れ始めたビートに合わせ、白地に赤のデザインが入った衣装を着た75人の高校生たちがステージ上で体を左右に揺らしてリズムに乗る。 指揮台には白ジャケットを羽織ったひとりの男が客席に背を向け、仁王立ちになっている。手にはマイク。男は長い脚をトントンと動かしてリズムをとっていたかと思うと、まるでロックスターのように両手を広げて一瞬しゃがみ込み、マイクを使って声を上げる。「カモン!」Vol.17 駒澤大学附属苫小牧高等学校吹奏楽局

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