eぶらあぼ 2024.1月号
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■ 東京フィルチケットサービス03-5353-9522https://www.tpo.or.jp*2024シーズンの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。37性が光るピアニスト務川慧悟との共演も頼もしい。 もちろん、マエストロ・チョンといえば、イタリア・オペラも忘れてはいけない。9月(9/15, 9/17, 9/19)には、ヴェルディの歌劇《マクベス》を取り上げる。これまでの《ファルスタッフ》や《オテロ》に続く、シェイクスピア原作の作品だ。演奏会形式ならではの細部まで練り上げた表現の数々に、熱気をはらんで進んでいくドラマ。今回もオペラ・オーケストラとしての東京フィルの実力を引き出してくれよう。 マクベス役には、2022年の《ファルスタッフ》の題名役も好評だったセバスティアン・カターナを起用。マクベス夫人にヴィットリア・イェオ、バンクォーはアレックス・エスポージト、マクダフにはステファノ・セッコなど、歌手陣も豪勢だ。 首席指揮者のアンドレア・バッティストーニも大曲で勝負する。3月(3/10, 3/13, 3/15)は、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」第2組曲に、オルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」。魅惑の擬古典プログラムだ。持ち前のカンタービレと爆発力がひときわ輝くこと間違いない。「カルミナ・ブラーナ」では、イタリアから呼んだヴィットリアーナ・デ・アミーチス(ソプラノ)とミケーレ・パッティ(バリトン)に加え、鬼才のカウンターテナー彌勒忠史の起用に胸が高鳴る。 11月公演(11/13, 11/17, 11/19)は、マーラーの交響曲第7番の一本勝負。東京フィルとのマーラーは、これまで第1、5、8番の交響曲を取り上げてきたバッティストーニ。深い関係性を築いてきた彼らが、マーラーによる器楽交響曲の総本山に真正面から左より:原田 節 ©Yutaka Hamano/務川慧悟 ©M.Yamashiro/セバスティアン・カターナ/ヴィットリア・イェオ ©Sergio Ferri/アレックス・エスポージト ©Victor Santiago/ステファノ・セッコ左より:ヴィットリアーナ・デ・アミーチス ©Giada Sponzilli/ミケーレ・パッティ/彌勒忠史/マルティン・ガルシア・ガルシア ©Darek Golik(NIFC)/阪田知樹 ©Ayustet/服部百音 ©YUJI HORI挑む。心躍らぬわけがない。 特別客演指揮者のミハイル・プレトニョフもやって来る(1/23, 1/25, 1/28)。2023シーズンでは円熟の表現でラフマニノフを聴かせてくれたが、今回は北欧プログラム。シベリウスの交響曲第2番をメインに、グリーグのピアノ協奏曲では、2021年のショパン国際ピアノコンクールで名を馳せたマルティン・ガルシア・ガルシアを迎える。 さらに嬉しいニュースが。桂冠指揮者ダン・エッティンガーの久々の登場だ(7/24, 7/28, 7/29)。「サマーミューザ」などで共演を重ねていたものの、彼が定期公演の指揮台に上がるのは、なんと10年ぶり。気鋭のピアニスト阪田知樹とのモーツァルトのピアノ協奏曲第20番に、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。オーケストラを重厚に鳴らしつつ、より風格を増した演奏を期待していいのではないか。 若手枠は出口大地だ。ハチャトゥリアン国際指揮者コンクールで優勝した彼は、ハチャトゥリアン・プログラムで2022年の定期演奏会で日本デビューを果たし、熱狂で迎えられた。今回の10月公演(10/17, 10/18, 10/20)では、ハチャトゥリアン(アルメニア)、ファジル・サイ(トルコ)、コダーイ(ハンガリー)による民族色を存分にアピールした音楽を披露する。サイのヴァイオリン協奏曲「ハーレムの千一夜」の独奏は服部百音。集中力みなぎる熱演が繰り広げられることだろう。

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