第50回 定期演奏会 7/8(土)16:00 大阪/住友生命いずみホール問 住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188 https://www.izumihall.jp8/3(木)19:00 板橋区立文化会館問 板橋区文化・国際交流財団03-3579-3130 https://www.itabashi-ci.org71 いずみシンフォニエッタ大阪(ISO)が第50回定期演奏会を開く。節目の開催を記念して、今年生誕70、80、90、100年を迎える作曲家を取り上げる。まず、生誕100年のリゲティ「ミステリー・オブ・マカーブル」。彼の唯一のオペラ《グラン・マカーブル》の秘密警察長官ゲポポのアリアをトランペット独奏に編曲したもの。複雑怪奇な問題作を象徴するような阿鼻叫喚のアリアで、超絶技巧が連続する。独奏の菊本和昭は「トランペット奏者として気になる作品で、遂にこの作品に挑む時が来たか」と意気込みを語る。生誕90年のペンデレツキ「弦楽のためのシンフォニエッタ」は、各楽器のソロも活飯森範親 ©山岸 伸定。クラシック音楽を愛する人はもちろん、まだなじみのない方も安心して楽しめる。プログラムは非常に多彩で、モーツァルトのオペラ《フィガロの結婚》序曲(佐野編・世界初演)のようなどこかで耳にしたことのあるメロディから、リストの「ラ・カンパネラ」やショパンの「葬送」ソナタなどの重厚な作品まで並び、多くの人を引き込む選曲となっている。卓越した技巧と豊かな音楽性、幅広いアイディアを兼ね備えた佐野のピアニズムを存分に味わえるコンサートだ。小栗まち絵菊本和昭躍して、ISOの優れた弦楽セクションが十分に楽しめる。 80歳になる池辺晋一郎の「降り注ぐ…」は、ISOが2005年に初演した曲。しずくが降り注ぐような下降音形が特徴的で、初演したISO常任指揮者の飯森範親は「現代音楽には珍しい反復記号が2、3ヵ所あり、そこが聴きどころ」という。そして今年70歳の西村朗による三重協奏曲「胡蝶夢」の新作初演。西村は「荘子の『胡蝶の夢』を下敷きに、蝶をクラリネット(上田希)、人間をヴァイオリン(小栗まち絵)、人文:横原千史文:長井進之介上田 希 ©you篠㟢和子 ©満田 聡間の本性をハープ(篠㟢和子)が描く。自伝的な要素もあり、作曲家の自分と実人生の自分、夢と現実の境界が次第に曖昧になってゆく」と創作意図を語る。3つの独奏楽器はISOの各セクションの代表でもあり、ISOの創設者で音楽監督の西村が、この20年以上にわたる活動の集大成と位置付ける新作への期待は、おおいに高まる。指揮者の飯森は今年60歳になり、これで50から100までの円環は閉じる。単なる数字遊びをはるかに超えた意義深い演奏会となるだろう。飯森範親(指揮) いずみシンフォニエッタ大阪50回記念̶生誕60,70,80,90,100年特集アニヴァーサリーを迎える作曲家の音楽とともに祝う記念定期佐野優子 ピアノリサイタル〜未来への架け橋 Vol.3 ヨーロッパより時を超えて〜故郷への思いを音楽にのせて ピアニストの佐野優子は東京藝術大学附属音楽高等学校を経て同大学を卒業後、ロンドンの英国王立音楽院修士課程に進み、首席で修了。現在はロンドンに拠点を置き、ヨーロッパだけでなく日本、アメリカ、中南米、アジア諸国でも演奏活動を展開している。リサイタルはもちろんのこと、多くの公演で協奏曲のソリストも務めているが、それと並行して取り組むのが、高校生の頃から情熱を注いでいるというアウトリーチ活動だ。中学校などでのトーク・コンサートをはじめ、科学や美術、環境問題と音楽をコラボレーションさせるなど、独自の視点とアイディアを活かした活動は国際的にも注目を集めている。今回のリサイタルも、そんな彼女だからこそ実現した企画だ。 開催地は佐野の出身地である東京都板橋区で、青少年が積極的に来場できるように特別なチケット料金を設
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