eぶらあぼ 2023.7月号
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 7月6日は「長原幸太&鍵冨弦太郎デュオ・リサイタル」。読響コンサートマスターの長原と、日本音楽コンクール第1位受賞はじめ各地で活躍する鍵冨が、シュポアやC.A.べリオの二重奏曲のほか、ミルシテイン、リスト、エルンストのソロ難曲も披露。二人の超絶技巧でヴァイオリンの魅力を堪能する。 8月19日は「IMA2023 スペシャル・フェスティバル・コンサート」。昨年IMA第5回高松国際ピアノコンクール優勝者 フィリップ・リノフ ピアノ・リサイタルロシアの新星、多彩なプログラムでコンクールの感動再び! コロナ禍の影響で開催が一年延期となり、今年2月に行われた第5回高松国際ピアノコンクール。前回(2018年)から5年ぶりの開催となった今回、国内外の若いピアニストたちにとっては難儀な数年だったが、さすがフレッシュな感性。ピンチをチャンスにとばかりに、腕を磨く工夫を重ねてきた結果の良質な音楽が、ネット配信からも伝わる名演の数々だった。その中で優勝を果たしたのがロシアのフィリップ・リノフ。今年24歳のリノフは、現在モスクワ音楽院で名匠ヴィルサラーゼに師事。幼少期よりしっかり身につけてきた基礎力が、高松のステージでもJ.S.バッハやショパン、モーツァルトの細部に活きており、ブラームスの室内楽やラフマニノフのピアノ協奏曲では緩急自在のアンサンブル力をみせた。 この文句なしの覇者が、今秋Hakuju Hallに登場する。最初に弾かれるJ.S. バッハのカプリッチョ「最愛の兄の旅IMAスペシャル・ランチ・タイム・コンサート7/5(水)14:00 石川県立音楽堂 邦楽ホール長原幸太 & 鍵冨弦太郎デュオ・リサイタル7/6(木)19:00 金沢市アートホールIMA2023 スペシャル・フェスティバル・コンサート8/19(土)18:00 石川県立音楽堂 邦楽ホール問 アスペン03-5467-0081 https://www.aspen.jp10/17(火)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp66 石川県と金沢市が中心となり、「著名な講師陣の指導による若手音楽家の育成と地域音楽文化の振興、石川発の芸術文化を広く発信すること」を目的に掲げる「いしかわミュージックアカデミー(IMA)」が、今年開催25周年を迎えた。その記念の特別事業として、今夏3つの公演を開催する。 まず7月5日「IMAスペシャル・ランチ・タイム・コンサート」。IMA音楽賞受賞者であるヴァイオリンの長原幸太と鍵冨弦太郎に、ヴィオラの中恵菜、やはり同賞受賞者のチェロ髙木慶太。各所で活躍中の4人による「IMA String Quartet」が、モーツァルトとメンデルスゾーンで本格的な弦楽四重奏の精髄を聴かせる。左より:長原幸太 ©読響/鍵冨弦太郎/中 恵菜 ©Yusuke.Kinoshita/髙木慶太/原田幸一郎 ©堀田力丸/MINAMI ©Yoshihiro Yoshida/前田妃奈 ©T.Tairadate音楽賞を受賞した二人のヴァイオリニスト、MINAMIと前田妃奈が登場する。前者は2021年ヨーゼフ・ヨアヒム・ハノーファー国際コンクール入賞、後者は22年ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際コンクール第1位。話題を集めた俊才たちの旬の音を、ソロ作品やバッハの2つの協奏曲(原田幸一郎指揮、IMAフェスティバルアンサンブル)で体験できる。記念にふさわしい華やかなステージとなる。立ちにあたって」では、優美な装飾音符が散りばめられた響きに、ヨーロッパの教会が想起されるだろう。続くシューマン「ダヴィッド同盟舞曲集」の、独特な詩的世界をリノフがどう展開させるか興味津々。お国モノであるタネーエフ「前奏曲とフーガ 嬰ト短調 op.29」、プロコフィエフ「4つの練習曲 op.2」では、精緻な技巧による千変万化の表情や多彩な音色が楽しみだ。そしてバーバーのピアノ・ソナタは、若い感性ゆえの大胆かつ繊細な表現を、スケール感満載で聴かせてくれるだろう。「日本に帰ってくるのが楽しみ」と言うリノフ。待ってます!©Emill Matveyev文:上田弘子文:林 昌英いしかわミュージックアカデミー 25周年記念 特別事業アカデミー出身の気鋭アーティストの“いま”を聴く

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