eぶらあぼ 2023.7月号
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7/5(水)13:00 大田区民ホール・アプリコ問 大田区民ホール・アプリコ03-5744-1600 https://www.ota-bunka.or.jp第2回 無伴奏の世界 荒井英治(ヴァイオリン)7/13(木)19:00 東京文化会館(小)問 ミリオンコンサート協会03-3501-5638 http://www.millionconcert.co.jp62Interview荒井英治(ヴァイオリン)1つのドラマを形成する、稀少な無伴奏リサイタル 東京フィルのソロ・コンサートマスターを勇退後、東京音大の教授を主軸に、モルゴーア・クァルテットでの演奏、東京シティ・フィル、名古屋フィル、日本センチュリー響の客演コンマスなど、精力的に活動している荒井英治。彼はこの7月、「無伴奏の世界」と題したヴァイオリン・リサイタルを行う。多忙な荒井ゆえに、これはかなり貴重な機会だ。 「無伴奏のみのリサイタルは15年ぶりです。今回行う決心をした理由は、教えることで自分自身気付かされることが沢山あったから。それを成果として表せるのではないかと考えました。また、最近イザイの素晴らしさがわかり、弾いていて楽しいので、彼の無伴奏ソナタを中心にした公演をと思ったのも理由の1つです」 ゆえに、メインは「イザイのソナタの中でも特に好きな」第4、5、6番。ここから全体がプログラミングされた。 「当初メインで迷ったのはバルトークのソナタですが、そちらは作曲者の『こう弾かねばならぬ』との意図が感じられます。その点、イザイは弾き手のイマジネーションに委ねられている部分がある。つまり開かれています。そこでイザイを、同じく自由で開かれたバッハと結び付けました。そしてバッハとの関連性から、バロックの様式で書か平日昼間のアプリコ・クラシックシリーズ 本と音楽の素敵な出逢い Vol.1 『マチネの終わりに』ギターの調べと作家とのトークで紡がれる名作小説の世界 読書から与えられるインスピレーション。それは作曲家を含め、音楽に関わるすべての人が体験として持つものだろう。一方で、音楽からインスピレーションを得て文章に向かう作家も多い。芥川賞作家である平野啓一郎もそのひとり。彼の小説『マチネの終わりに』はクラシック・ギターのソリストとして活躍する男性と、パリの通信社に所属する女性ジャーナリストとの恋愛を描いた作品で、映画化もされた。 その『マチネの終わりに』をテーマに「本と音楽の素敵な出逢い」と題されたコンサートが開催される。小説に登場するギタリストのモデルの一人でもある大萩康司と平野が対話しつつ、作中に現れる様々なクラシック・ギターの名曲を披露する。またストーリー中重要な役割を持つ小品「幸福の硬貨」は、映画化に際して作曲家の菅野祐悟が書き下ろした作品で、ライブで聴くチャンスは限られている。浦久俊彦のナビゲートによって広がる「本と音楽」の新しい出逢いを楽しみたい。れたペンデレツキの『ラ・フォリア』と、フガートを用いたストラヴィンスキーの『エレジー』を組み合わせました」 「リサイタルは1つのドラマ」と語る荒井だけに、曲順にも意味がある。 「最初のペンデレツキ作品はモノクロームの音楽。バルトークの作品の過激さや厳格さを10分に凝縮したような密度が濃い曲です。これで会場の空気を一気にひとつにまとめて、次にバッハを感じるまま自由に弾きたいと思いました。バッハはパルティータ第2番。私が6曲の無伴奏曲の中で双璧だと思うのはこれとソナタ第3番ですが、ソナタの方は長調なので、もう少しモノクロームの世界を表現したかった。それに追悼の音楽と言われる『シャコンヌ』も含まれていますから。さらにストラヴィンスキーも悲しみの曲。ここまでは厳しさと悲しみの世界です。しかしイザイの4番はエネルギーに溢れ、5番は牧歌的で、6番は最も華やかな音楽。従ってここで『悲しみを乗り越えていく』、すなわち『暗から明へ』の世界が築かれます。また、対位法的な曲とホモフォニックな曲が交互に並び、自由平野啓一郎 ©瀧本幹也大萩康司 ©SHIMON SEKIYA取材・文:柴田克彦文:片桐卓也©s.yamamoto奔放なイザイの6番で飛翔するという流れにもなっています」 彼は、「補完し合う共演者がいない無伴奏の演奏は、心の中に鏡を立てて自分の中を見つめていく作業」とも語る。「無伴奏の一夜は滅多にないので楽しみ。1つのストーリーを感じながら、楽しんでいただけたら嬉しい」と期待を寄せる当公演に、ぜひご注目あれ。

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