eぶらあぼ 2023.7月号
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第137回 定期演奏会11/17(金)19:00、11/18(土)14:00 紀尾井ホール 7/21(金)発売問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp 54ORCHARD PRODUCE 2023 宮田 大(チェロ) & 横溝耕一(ヴィオラ)が贈る室内楽フェスティバル AGIO気鋭奏者たちによる極上のアンサンブルを間近で感じる3日間 Bunkamura オーチャードホールとの共同企画により、浜離宮朝日ホールにて3日間にわたる「室内楽フェスティバル AGIO(アージョ)」が開催される。発起人はNHK交響楽団のヴァイオリニストであり、ヴィオリストとしても活躍する横溝耕一と、日本を代表するチェリストの宮田大。 ヴァラエティ豊かな全5公演にはいずれも豪華メンバーが集結するが、なかでも注目は横溝と宮田の同級生でもあるヴァイオリニスト、木嶋真優の全面参加だろう(チェロクァルテット公演を除く)。オープニングコンサート「トリオの調べ」 では、この3人によるベートーヴェンの弦楽三重奏曲 ハ短調 op.9-3とモーツァルトのディヴェルティメント 変ホ長調 K.563などを聴くことができる。また、横溝をはじめ子育て世代のたっての希望で企画されたというファミリーコンサート「ピーターと狼」では、この3人にピアノと朗読を加えた編成のために、特もに録音して新境地を開いたディスク(デッカ)の演目。生き生きとしたリズムや多彩なアーティキュレーション、洗練されたカンタービレがすばらしく、HIP系の首席指揮者ピノックと共演を重ねるKCOとどのような演奏を聴かせてくれるか楽しみ。同郷の指揮者アバドの追悼のためにダントーネが編曲したポルポラのピアノ協奏曲(原曲はチェロ協奏曲)の「弾き振り」も予定されていて、こちらは別に編曲したバージョンが披露される。0歳から入場できるので、ぜひ家族揃ってお出かけいただきたい。 そのほか、宮田、辻本玲、伊藤悠貴、佐山裕樹の4人による「魅惑のチェロクァルテット」、ピアソラのブエノスアイレスの四季(弦楽三重奏版)とヴィヴァルディ(内門卓也編)の四季が並ぶ宮田大プロデュースコンサート「四季」も。そし9/1(金)~9/3(日) 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/  Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999 https://www.bunkamura.co.jp※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。左:デルフィーヌ・ガルー 右:オッターヴィオ・ダントーネ ©Giulia Papettiアジア初演。ダントーネの日本のオーケストラとの初共演、ガルーの初来日と、話題づくしの注目のコンサートである。宮田 大 ©日本コロムビア木嶋真優 ©KINYA OTA(MILD)てクロージングコンサート「AGIO」では、辻彩奈(ヴァイオリン)、戸原直(ヴィオラ)も参加し、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番とチャイコフスキーのフィレンツェの思い出でラストを飾る。 演奏家みずからが企画し、同世代の仲間を集めて開催される音楽祭。ここでしか聴けない音楽による会話を心ゆくまで楽しみたい。横溝耕一 © Shigeto Imura文:那須田 務文:原 典子オッターヴィオ・ダントーネ(指揮/ピアノ) 紀尾井ホール室内管弦楽団KCOとの初共演で堪能する名匠の音世界 この秋、イタリアの古楽の名匠オッターヴィオ・ダントーネが紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)の定期演奏会に登場する。新型コロナで延期された復活公演なのだ。ファンにとってこれほど嬉しいことはない。なにしろ前半はダントーネの十八番であるヘンデルやヴィヴァルディ等のバロック・オペラのアリアで、しかもソリストはフランスの名花デルフィーヌ・ガルーなのだから。彼女は2000年頃から欧州各地の歌劇場でソリストとして頭角を現し、ミンコフスキやダントーネらのプロジェクトに参加する、今最も注目されるコントラルトの一人。やはりヘンデルを得意とし、即興的で創造的な任意なパッセージ、超絶的なアジリタや制御されたカンタービレなど高度な歌唱技巧と柔らかな気品のある声が魅力だ。 後半はハイドンの交響曲第81番。8年前にダントーネが自身の古楽オーケストラ、アカデミア・ビザンティーナとと

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