eぶらあぼ 2023.7月号
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8/6(日)14:00 よこすか芸術劇場問 横須賀芸術劇場046-823-9999https://www.yokosuka-arts.or.jp川崎定期演奏会 第92回 7/15(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール第712回 定期演奏会 7/16(日)14:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp内の各ホールや、福岡、広島、新潟、奈良など全国5都市、7つの劇場で、8公演を行ってきた。 クインテットは固定ではなく、各パート数人ずつが控えるレギュラーの中から、公演ごとに異なるメンバーがユニットを組むシステム。これが毎回、とにかく豪華なのだ。今回も、ヴァイオリン・成田達輝、山根一仁、ヴィオラ・川本嘉子、チェロ・遠藤真理、ピアノ・田村響という、名前だけでもわくわくする顔ぶれ。ピアノ五重奏曲も交えつつ、バロックから日本の歌まで、藤木の歌を49 藤木大地とオールスター・アンサンブルが一体となるハイクオリティなパフォーマンスを聴けるのも、今のところこれが最後。聴き逃せない。 緻密にていねいに紡ぐ歌で心を打つカウンターテナー藤木大地。彼が卓抜なプロデュース能力を発揮しているのが、この「みなとみらいクインテット」だ。横浜みなとみらいホールの初代プロデューサー(2021-23)を務める藤木が、そのタスクのひとつとして掲げた「全国の劇場との連携」のために実現したプロジェクト。これまでに横浜市左より:藤木大地 ©hiromasa/成田達輝 ©Marco Borggreve/山根一仁 ©K.MIURA/川本嘉子 ©島崎陽子/遠藤真理 ©Yusuke Matsuyama/田村 響 ©武藤 章たっぷり聴かせる。メンバーが互いを語るトークコーナーなどもあって、肩肘張らずにほっこりできる音楽会だけれど、たとえば木下牧子〈鴎〉、平井夏美〈瑠璃色の地球〉(松田聖子)、村松崇継〈いのちの歌〉など、祈りや愛、やさしさがにじむ歌を、広島に世界の首脳が集まった年の8月6日に聴く意味も噛み締めたい。ジョナサン・ノット ©K.Miura/TSO在となった彼女がいかなるソロを聴かせてくれるのか? 生演奏が稀な曲だけにぜひ確認したい。 後半のブラームスは、ノットがご当地ドイツのバンベルク響のシェフ時代に交響曲チクルスを行って日本公演でも高評価を獲得し、東響とのヨーロッパ・ツアーで第1番を披露して賞賛された神尾真由子 ©Makoto Kamiya得意の作曲家。昨年5月、東響での第3番の清新かつドラマティックな名演も記憶に新しい。今回の第2番は、メロディアスで牧歌的な音楽─意外にまとめるのが難しい─の表現が要注目。終楽章の推進力にも熱視線が注がれる。いずれにせよ実体験する価値は大。そこには新鮮な感動が待っている。文:柴田克彦文:宮本 明ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団絶好調コンビがおくるノーブル&パストラル 10年目に入ったジョナサン・ノットと東京交響楽団のコンビから目を離せない。特にこの5月は、終始ハイテンションで凄絶を極めたR.シュトラウスの《エレクトラ》、変幻自在の運びで既成概念を覆したマーラーの交響曲第6番「悲劇的」と快演を連発。マッシブとセンシティブが同居した生命感溢れる演奏は、必聴度を増す一方だ。 続く7月の定期は、エルガーのヴァイオリン協奏曲とブラームスの交響曲第2番。今度は柔らかみのあるプログラムが用意された。エルガーの協奏曲は、同作曲家ならではの気品と重層感を兼備した50分近い大曲。芳醇なメロディと超絶技巧を堪能できる作品で、メニューインやハイフェッツが愛奏したことでも知られている。ここではまずイギリス人ノットの、同国人のみ可能と思しきエルガーへの深いアプローチに期待。そして独奏は神尾真由子。強靭なテクニックとパッショネイトな表現力に味わいを加えて、日本屈指の存藤木大地 & みなとみらいクインテット日本を代表するアーティストたちによる唯一無二のアンサンブル

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