第979回 定期演奏会Aシリーズ 7/19(水) 都響スペシャル 7/20(木)各日19:00 東京文化会館問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp9/24(日)15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp東京文化会館オペラBOX《Help! Help! グロボリンクスだ! 〜エイリアン襲来!!〜》子どもも楽しめる異色のオペラが6年ぶりに再演47「ホルンの王」を迎えて贈る雄大なオーケストラサウンド 相性の良さは必ずしも理屈ではない。話が合う、一緒にいると楽しいというのは直感的なものだ。これは音楽にも当てはまる。指揮者とオーケストラの間柄にもそんな部分が大いにあり、誰がどのオケを振るかでよく見知った名曲も全く違った相貌を帯びる。 相性の良さという点で、アラン・ギルバートと都響はまさに理想のコンビだろう。ギルバートのタクトに、オケがワクワクしながら応える。音楽が弾み、上気したような気分がやがて力強い熱狂にまで高まる。聴き終わった後は、すかっと爽やかな後味が残る。 このエネルギッシュなコンビにふさわしい季節は、夏だ。今年も生命の躍動を感じさせる魅力的なプログラムで、7月定期と都響スペシャルに登場する。 ウェーベルン「夏風の中で」は「大管弦楽のための牧歌」というサブタイトルを持つ。ウェーベルンというとトータル・セリーの祖というイメージが強いが、この作品はまだ前衛に移行する前の、濃厚な 東京文化会館のオペラBOXは、オペラのビギナーも楽しめる、小ホールでのコンパクトな公演。舞台と客席との距離が近く、歌手の息遣いが伝わってくる。今年の演目は、メノッティの《Help! Help! グロボリンクスだ! ~エイリアン襲来!!~》。2017年の上演が好評を博しての再演である。メノッティのこのオペラは、エイリアンの襲来とそれに立ち向かう学校の人々の物語。ストーリーは明快で、子どもでも大丈夫。それどころか、このオペラには、合唱やダンスで子どもたちも参加している。 また、この企画には、東京文化会館柴田真郁 ©T.Tairadateが主催している東京音楽コンクールの入賞者たちが積極的に起用されている。ヒロインのエミリーには種谷典子(第16回第2位)、バスの運転手に岡昭宏(第12回第1位)、算数の先生に八木寿子(第9回第1位)、国語の先生にヴィタリ・ユシュマノフ(第14回第2位)、理科の先生に奥秋大樹(第19回第3位)、そして重要なヴァイオリン独奏は岸本萌乃加(第9回弦楽部門第1位)が担う。佐藤美枝子や折江忠道ら芸達者なベテアラン・ギルバート ©Rikimaru Hottaロマンティシズムを湛えた作品で、鮮やかなオーケストレーションも楽しい。 続いてベルリン・フィル首席奏者シュテファン・ドールを独奏に迎え、モーツァルトのホルン協奏曲第4番。すっきりとしたドールの音色が一陣の風のようにホールを駆け抜けることだろう。岩田達宗種谷典子 ©Fukaya Yoshinobu/auraY2シュテファン・ドール ©Simon Pauly ドールはそのままオケに参加し、後半はR.シュトラウス「アルプス交響曲」。雄大な日の出で始まり、絶景の山頂へ。下山の途中、激しい嵐に遭遇、それが去ると日没後の静寂があたりを包み込む。ギルバート&都響のサウンドに乗って、このバーチャル登山を体験しよう!佐藤美枝子 ©武藤 章初演時舞台写真 ©Mino Inoueランが脇を固めているのも心強い。指揮は柴田真郁、演出は岩田達宗。 しかし実は、このオペラBOXは、ビギナーに限らず、オペラ・ファンにも観てもらいたい。かつて人気があったメノッティのオペラは今ではなかなか上演されない。エイリアン襲来はいかにもこの作品が作られた1960年代当時の時事ネタではあるが、生の音を大切にするこのオペラは、今だからこそ、価値を増しているといえよう。文:江藤光紀文:山田治生アラン・ギルバート(指揮) 東京都交響楽団
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