第630回 定期演奏会 7/27(木)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp7/12(水)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp池辺晋一郎 プロデュース 日本の現代音楽、創作の軌跡第5回 1933年生まれの作曲家たち先達の創作を次代へ引き継ぐ43 東京オペラシティ文化財団ミュージック・ディレクターの池辺晋一郎がプロデュースし、2019年よりスタートさせた「日本の現代音楽、創作の軌跡」は、開催年の90年前に生まれた作曲家の作品を豪華演奏家陣によって届けるという企画。第5回となる今年は1933年(昭和8年)生まれの作曲家をフィーチャーしている。 “昭和一桁世代”は少年期に戦争を体験、敗戦後の混乱期に音楽を志し、戦後の文化の復興と隆盛を先陣に立って導いてきた。 33年生まれの最重要作曲家は三善晃と一柳慧だが、いずれも大きめのア池辺晋一郎 ©武藤 章成田達輝 ©Marco Borggreveンサンブル曲が取り上げられる。三善の「ノクチュルヌ」は傑作を次々に書き下ろしていた70年代前半の五重奏曲。昨年亡くなった一柳の「リカレンス」(1977~78)は七重奏で、60年代の前衛的な作風からミニマリズムに転換している。今井重幸の「青峰悠映-序奏と田園舞-」、服部公一の「古 新羅人 讃」はいずれも韓国の音楽から刺激を受けたトリオで、アジアのエキゾティシズムが香る。さらに古典音楽の理論の延長に自らの創作の道を切り開いた原セバスティアン・ヴァイグレ ©読響 撮影=藤本 崇大したもので、その素っ気ないタイトルとは裏腹にロマンティックで豊潤な音楽である。フランクフルト歌劇場でシュレーカーの《はるかなる響き》を指揮するなど、彼の作品を熱心に取り上げてきたヴァイグレが、シュレーカーの高木綾子 ©FUMI真価を伝えてくれるだろう。 そのほか、モーツァルトの「フリーメイソンのための葬送音楽」と交響曲第31番「パリ」も取り上げられる。読響がそれぞれの作品の時代に合った演奏スタイルを披露することであろう。樫本大進 ©Keita Osada(Ossa Mondo A&D)中野翔太 ©Taira Tairadate辻本 玲 ©KING RECORDS博「ピアノ・ソナタ第3番」のほか、辻井英世「ナフタ」、神良聰夫「弦楽四重奏のための3つの小品」がプログラミングされ、昭和の創作の多様な諸相が浮かびあがるだろう。 演奏陣も現代音楽の演奏で目の覚めるような切れ味を見せる成田達輝(ヴァイオリン)をはじめ、高木綾子(フルート)、中野翔太(ピアノ)、辻本玲(チェロ)など、トップ奏者たちが結集する。昭和の創作を次代へと引き継ごうとする池辺の意図が透けて見える。文:山田治生文:江藤光紀セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団世紀を超えたはるかなる音楽の旅路 読売日本交響楽団の7月定期演奏会は、常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレの指揮で18世紀から21世紀に至る壮大な音楽の旅。最大の注目は、樫本大進を招いての細川俊夫作曲・ヴァイオリン協奏曲「祈る人」の日本初演である。本作は、今年3月2日に、樫本の独奏、パーヴォ・ヤルヴィ&ベルリン・フィルによってベルリンで世界初演されたばかり。この作品では、細川のほかの協奏曲と同じように、ソリストはシャーマンであり、オーケストラはシャーマンの内と外に拡がる宇宙、自然であるという。そして、ヴァイオリンが祈りの歌をうたい、苦難を経て最後は浄化へと至る。 また、この日のプログラムの最後に、ナチス政権に退廃音楽のレッテルを貼られたシュレーカーの作品から、「あるドラマへの前奏曲」が演奏されるのも聴きものだ。この20分弱の管弦楽曲は、シュレーカーの代表作であるオペラ《烙印を押された人々》の前奏曲を拡
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