eぶらあぼ 2023.7月号
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左より:堤 剛 ©鍋島徳恭/栗コーダーカルテット/牛田智大 ©Ariga Terasawa/村治佳織 ©Ariga Terasawa/河村尚子 ©Marco Borggreve/小井土文哉 ©Kei Uesugi左より:谷 昂登 ©井村重人/エリソ・ヴィルサラーゼ ©Nikolai Puschilin/カルテット・アマービレ ©T.Tairadate/デイヴィッド・レイランド ©BAKI/上野星矢文:柴田克彦32当音楽祭の新境地でもある。30日は「エリソ・ヴィルサラーゼが贈る 名曲シューベルト『ます』」も開催される。これは霧島を愛する現代屈指の巨匠ヴィルサラーゼが、カルテット・アマービレ等とともにピアノ絡みの傑作を3曲も奏でる垂涎の公演。その慈愛に満ちた音楽は、このためだけに行く価値十分だ。 8月2日、宝山ホールでの「キリシマ祝祭管弦楽団」も名物の一つ。所属団体の枠を超えて集結した名手たちによるスーパー・オーケストラが、ベルギーの俊英デイヴィッド・レイランドの指揮で、「カルメン」組曲やブラームスの交響曲第2番を聴かせる、まさに一期一会の公演だ。みやまコンセールに戻ると、8月5日にフルート界の貴公子・上野星矢のリサイタル、8月6日に「ファイナル・オーケストラ・コンサート」が行われる。後者は、一流演奏家に選抜された受講生が加わったレイランド指揮のオーケストラが、モーツァルト「パリ」、ベートーヴェン「田園」の両交響曲を披露するハッピーなフィナーレ。ヴィルサラーゼがソロを弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番も当然見逃せない。 このほか、恒例の「霧島神宮かがり火コンサート」をはじめ、各地で興味深い公演が開催されるし、みやまコンセールでの「オープン・レッスン」や選ばれた受講生のコンサート等もある。ここは遠方からも足を運び、“心地よき非日常”を味わおう。7/21(金)〜8/6(日)霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)、宝山ホール、霧島神宮 他■ 霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)0995-78-8000  ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530https://kirishima-imf.jp※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。第44回 霧島国際音楽祭豪華な音楽に、温泉、美食……魅力満点の老舗音楽祭 今年44回目を迎える霧島国際音楽祭は、日本で最も歴史ある夏の音楽祭。コンサートとマスタークラスを両輪に、17日間にわたって音楽の祭典が繰り広げられる。霧島は自然や温泉に恵まれ、同地を含む鹿児島は酒食の宝庫ゆえに、音楽とリゾートを同時に楽しめるのが大きな魅力。ここでは、その音響が“奇跡”と称される「みやまコンセール」を中心に、県内で多数開催されるコンサートの中から、主な公演をご紹介しよう。 まずは鹿児島市内で7月22日に行われる「宝山ホール祭り」。11時からはEテレ『ピタゴラスイッチ』でお馴染みの栗コーダーカルテットが、ファミリー(3歳から入場可)で楽しめる名曲を披露する。16時からはピアノの牛田智大とギターの村治佳織のダブル・リサイタル。超人気ソリスト2人の演奏と両楽器の名作を1公演で楽しめる贅沢な公演だ。 みやまコンセールに移ろう。7月23日は「オープニング・コンサート」。音楽監督・堤剛のチェロと河村尚子のピアノ=レジェンドと世界的名手が絶品のデュオを聴かせる。7月29日の「チェロ・オーケストラ」は音楽祭の名物。チェリストが大集合した唯一無二のサウンドを生体験できる。世界的作曲家・藤倉大への委嘱作も大注目。29日は「バッハ・コレギウム・ジャパン グリーンティー・コンチェルト」も続く。藤倉大が鹿児島でお茶の栽培をしていた祖父母の思い出のために書いた「グリーンティー・コンチェルト」の世界初演に、バッハの「コーヒー・カンタータ」等を加えたお洒落なプログラムで、国際的アンサンブルの名演を満喫させてくれる。7月30日は「小井土文哉、谷昂登 ピアノ・フェスティバル」。国内外の主要コンクールを制した若手奏者の瑞々しい演奏は、

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