CDCDSACDCD122ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集/古典四重奏団シューベルト:ピアノ作品集/古川貴子ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、第10番/伊藤亮太郎&清水和音ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、同第10番伊藤亮太郎(ヴァイオリン)清水和音(ピアノ)マーラー:交響曲第2番「復活」/小泉和裕&九州交響楽団古典四重奏団が、ついに、ベートーヴェン全曲を初リリース。特典のピアノ・ソナタ編曲や書籍同然のブックレットも凄いが、とにかく演奏に脱帽。慎重に録音を重ね、独自の澄んだトーンを土台に、研ぎ澄まされたライブ感も残しつつ、なにより自然体。特に後期作品の脱力ぶりは比類がない。奇をてらわず、楽曲中の仕掛けや斬新さを殊更に強調することもない。しかし、じっくり聴けば、必要なもの、求めるものはすべて込められている。作曲者が音楽の力を信頼したように、四人は作品自体の力を信じ、それを聴くわたしたちのことも信じている。まさしく唯一無二、愛好家必携の全集。(林 昌英)東京藝術大学大学院の後、ドイツで10年以上にわたり研鑽を積んだ古川貴子によるシューベルト・アルバム。「12の高雅なワルツ」に始まる前半の舞曲は、明快なタッチとみずみずしい音で奏でられ、シューベルティアーデの集いでシューベルトが仲間のためにピアノを弾いていた朗らかさを思わせる。一方のピアノ・ソナタ第18番 「幻想」は、優しい音の中に内面を見つめるような重さも備え、メヌエットの第3楽章も前半の舞曲とは別の声色で歌われる。しっかり芯がありながらやわらかさを纏った音が心地良い。舞曲とソナタで、シューベルトの魅力に複数の方向から光を当てる。(高坂はる香)N響コンサートマスターの伊藤亮太郎と名手・清水和音によるベートーヴェン・ソナタ・シリーズの第3弾。前2作同様、丁寧でこまやかな音楽作りがなされており、伊藤のナチュラルなフレージングに清水が生気や精彩を加えるといった、2人の絶妙なバランスが光っている。楽曲の特質も的確に表出。一音一音を大事にしながらじっくりと奏される第9番は、上昇期の意欲作であること、しなやかで軽みを湛えた第10番は、自在性に富んだ円熟期の佳品であることが明示される。各曲の本来のタイトル(ピアノとヴァイオリンのためのソナタ)を再認識させる、誠実で深い二重奏。(柴田克彦)安定感ある、どっしり構えたマーラーだ。小泉和裕は過剰に走らず、九響持ち前のサウンドをたっぷりと聴かせる。引き締まった響きで始まる第1楽章。しっかりとしたフォルムのなかで、それぞれの声部がソリッドに交差していく。中間部の楽章も、最近の演奏のような「遊び」はなし、じつに実直に進めていく。第4楽章では福原寿美枝の歌唱が天啓のように響く。終楽章は、起伏の大きい、壮大な音楽に。アンサンブルの集中力も高く、合唱も強弱のメリハリをつけ、精悍な運びのなかにドラマトゥルギーを宿す。黄金色を敷き詰めた、柔らかく荘厳なコーダが印象的だ。(鈴木淳史)ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番〜第16番、同第13番より第6楽章(第2稿)古典四重奏団【川原千真 花崎淳生(以上ヴァイオリン) 三輪真樹(ヴィオラ) 田崎瑞博(チェロ)】CRÉATIONCRT-2301〜2311(11枚組) ¥16500(税込)シューベルト:12の高雅なワルツ、2つのスケルツォ、12のドイツ舞曲(12のレントラー)、ピアノ・ソナタ第18番「幻想」古川貴子(ピアノ)マーラー:交響曲第2番「復活」小泉和裕(指揮)九州交響楽団安井陽子(ソプラノ)福原寿美枝(アルト) 他コジマ録音ALCD-9242 ¥3300(税込)オクタヴィア・レコードOVCL-00814 ¥3850(税込)収録:2022年10月、アクロス福岡シンフォニーホール(ライブ)フォンテックFOCD9880 ¥2640(税込)
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