CDSACDCDCD120シューマン:民謡風の5つの小品/堤剛&須関裕子トリオ・コンチェルタンテ/彩■■■■■三重奏ラフマニノフ:交響的舞曲 他/坂入健司郎&タクティカートオーケストララフマニノフ:管弦楽のためのスケルツォ、交響的舞曲サン=ジョルジュ:ヴァイオリン協奏曲集/毛利文香巨匠・堤剛の2年ぶりの新録音は、ひと捻りされた選曲による佳品集。豊かな響きと奥深い表現が横溢した、レジェンドの至芸を満喫できる1枚だ。カザルス17歳時の作品「パストラル」やコダーイの「アダージョ」は、録音が少ないだけに稀少な聴きもの。ドヴォルザークの「ロンド」の雄弁な演奏にも引き込まれるし、たっぷりとした歌が流れるショパンのノクターン op.9-2は、まるでチェロがオリジナルであるかのようだ。ピアソラの「ル・グラン・タンゴ」の熱気漲るパフォーマンスも特筆物。須関裕子の的確なピアノも、音楽に立体感や深みをもたらしている。 (柴田克彦)桐朋学園大学卒業生によって2017年に結成された彩三重奏(イロドリオ)のファーストアルバム。日本在住の作曲家シートンが3人の演奏を聴いて直接オファーしたことから実現した録音で、聴きやすい曲調にノスタルジーを感じさせる彼の30分強の大作は聴きごたえ充分。ヴァイオリンに長いカデンツァがあるのはユニーク。カップリングはショスタコーヴィチの名作で、3人は真摯に臨み、毒や闇の表現にはこだわりすぎず、澄んだ音色で端正に構築していく。それでも第4楽章中間、「ユダヤの主題」で高揚していく場面は熱い興奮を隠せず、素直な感情の表出とライブ感に好感。(林 昌英)メンバーがソリストを務めるコンチェルト公演を中心に活動を展開している、新進気鋭の実力派集団がラフマニノフ生誕150年にあたる2023年に東京オペラシティで開催した記念公演のライブ盤。ロシアが生んだ偉大なる巨匠が14歳で書き上げた「管弦楽のためのスケルツォ」と最後に完成させた大作「交響的舞曲」、つまりは作曲家人生の始まりと終わりの2曲を、若い世代の演奏家たちがみずみずしい感性で演奏した聴きごたえのある1枚。現在のクラシック・シーン注目のひとりである坂入健司郎(1988年生まれ)のシャープで清々しい指揮ぶりも魅力。 (東端哲也)18世紀後半フランスの作曲家サン=ジョルジュのヴァイオリン協奏曲集がリリースされた。第1集、第2集とそれぞれ異なる演奏家によって録音されてきたが、第3集では期待の若手、毛利文香が登場。バイオグラフィーに不詳な点が多い作曲家であるが、当盤収録の作品2は最初のふたつの協奏曲であり、同作でのデビューで彼はヴァイオリンのヴィルトゥオーゾとして知られるようになった。奇しくも当盤は毛利にとってのデビュー盤となる。いずれの音域でも凛とした音色を駆使した彼女の演奏は、未開の作品の魅力を十分に引き出しており、自作のカデンツァも作品の様式を的確に反映している。(大津 聡)P.シートン:トリオ・コンチェルタンテ/ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調彩三重奏【中津留果己(ヴァイオリン) 石井沙和子(チェロ) 香川明美(ピアノ)】坂入健司郎(指揮)タクティカートオーケストラオクタヴィア・レコードOVCL-00809 ¥3850(税込)収録:2023年2月、東京オペラシティ コンサートホール(ライブ)日本コロムビアCOCQ-85607 ¥3300(税込)カサド:愛の言葉/シューマン:民謡風の5つの小品/カザルス:パストラル/コダーイ:アダージョ/ドビュッシー(ロック編):亜麻色の髪の乙女/ドヴォルザーク:ロンド ト短調/ショパン(ポッパー編):ノクターン op.9-2/ピアソラ:ル・グラン・タンゴ堤剛(チェロ)須関裕子(ピアノ)マイスター・ミュージックMM-4518 ¥3520(税込)サン=ジョルジュ:ヴァイオリン協奏曲 ト長調 op.2-1、同ニ長調 op.2-2、同イ長調 op.7-1、同変ロ長調 op.7-2毛利文香(ヴァイオリン)ミヒャエル・ハラース(指揮)チェコ室内管弦楽団パルドビツェNAXOS/ナクソス・ジャパンNYCX-10403 ¥2200(税込)
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