eぶらあぼ 2023.5月号
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6/15(木)19:00 紀尾井ホール問 アンサンブル of トウキョウ事務局045-595-0223https://www.ensembleoftokyo.com5/21(日)15:00 岐阜/サラマンカホール問 サラマンカホールチケットセンター058-277-1110 https://salamanca.gifu-fureai.jp金 昌国 追悼演奏会名手たちが集い、巨匠への想いを捧ぐ 昨年7月に世を去った名フルート奏者、金昌国の追悼演奏会が6月15日、紀尾井ホールにて開催される。金昌国はフルート奏者としての演奏活動のみならず、アンサンブル of トウキョウの創設や、神戸国際フルートコンクールの設立に携わるなど、音楽界に大きな足跡を残した。今回の追悼演奏会では故人ゆかりの名演奏家たちが国内外から集まり、アンサンブル of トウキョウとともにその業績を偲ぶ。 モーツァルトのフルート四重奏曲第1番および第3番では、それぞれフルートをN響首席奏者の甲斐雅之、ソリストとして活躍する高木綾子が演奏。小林美恵のヴァイオリン、大野かおるのヴィオラ、河野文昭のチェロと共演する。金昌国が初演したユン・イサンのエチュード第5番で独奏を務めるのは韓国のユン・ヘリ。ドイツの名オーボエ奏者インゴ・ゴリツキは大林修子のヴァ70イオリンとの共演で、バッハの「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」より演奏する。フィンランド放送響首席奏者であり第6回神戸国際フルートコンクール第1位の小山裕幾も、金昌国の薫陶を受けた奏者のひとり。エマヌエル・バッハのフルート協奏曲 ト長調でソロを披露する。バッハのブランデンブルク協奏曲第4番では、フルートのイ・ソヨンと萩原貴子、ヴァイオリンの玉井菜採がソリストを務める。 なお、公演は出演者の協力によりチャリティコンサートとして開催され、落合陽一 ©Mika Ninagawa楽器であるチェンバロのためのロワイエ「スキタイ人の行進」から、後の時代のピアノで書かれたショパン、シューマン、現代の藤倉大までの幅広いスペクトラムを設定。モーツァルト「音楽のサイコロ遊び」にちなんで聴衆全員にサイコロを渡し、客席とのコラボレーションを通じた“作曲”にも臨む。小川加恵 ©Shigeto Imura 落合はAI(人工知能)を駆使した新作、交響詩「長良川」(仮題)の世界初演を予定。 「長良川というより、鮎そのものを学習素材にして“鮎っぽい”音楽にしたい。計算機と古楽器の組み合わせで、良いハーモニーのクラシック音楽をつくれるかどうか、楽しみです」(落合)文:飯尾洋一文:池田卓夫金 昌国収益は故人が中心的な役割を果たした神戸国際フルートコンクールに寄付される。落合陽一 × 小川加恵 計算機と古楽器で奏でる音楽会 ー未知への追憶ー鍵盤楽器のパルスはAIにいかなる刺激を与え、音楽を生み出すか? 35年前、フランクフルトの筆者の事務所にドイツの税務署員がチェックに現れ、日本製ファックス機に目を止めた。「これにドイツ語の書類を入れると、東京では日本語の文章になるのですか?」。当時は奇想天外と呆れたが、今や外国語のデータを翻訳ソフトにそのまま貼れば、かなり正確な日本語に変換される。妄想は案外、現実となりうる。 小川加恵は東京藝術大学とデン・ハーグ王立音楽院で学び、2011年の第16回ファン・ワセナール国際古楽コンクール(オランダ)で優勝したフォルテピアノ奏者。出身地・岐阜県のサラマンカホールで5月21日、メディアアーティストの落合陽一とともに開く「計算機と古楽器で奏でる音楽会-未知への追憶-」にも、そうした「瓢箪から駒」風、何が起こるかわからない雰囲気がもうもうと漂う。 アコースティック楽器の曲目からして、フォルテピアノより少し前の鍵盤

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