64InterviewLEO(箏)伝統を離れ、箏の新たな地平を切り拓く若き俊英 3月に最新アルバム『GRID//OFF』をリリース。東京と大阪で発売記念リサイタルを開く。公演のほうはタイトルが「GRID ON//GRID OFF」。ONとOFFを対照する。 「アルバムの“OFF”は、枠を外れる、今までになかったようなことをやりたいというのがテーマで、普通は箏で弾かない音楽、僕自身も数年前ならこれを箏でやろうなんて考えなかったような音楽を入れました。一方で、たとえば2年前のアルバム『In A Landscape』ではクラシックと箏のバランスや調和にテーマを置いていました。ケージだったりバッハだったり、西洋的な作曲法で作られた音楽が、箏とどんな親和性があるのかというメッセージ性を考えていたんですね。それがたぶん、“ON”の部分。今回のアルバムは、選曲の時点で、そのつながりはまったく加味していないんです。 リサイタルでは、“ON”からどのように外れていったかというストーリー性、最新アルバムのバックグラウンドみたいなところまで含めてお伝えできたらと思っています」LEO 箏リサイタル 2023 - GRID ON // GRID OFF -6/9(金)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール8/27(日)17:00 浜離宮朝日ホール問 Mitt 03-6265-3201https://leokonno.com/news/live_20230827.htmlれる平尾の演奏がベーゼンドルファーの豊潤な響きと結びつき、極上の音色を楽しめることだろう。なお、演奏曲には東京大学やNHKフランス語講座講師を経て翻訳や朗読の分野で活躍するエストレリータ・ワッセルマンを迎えてのプーランク「子象ババールの物語」も含まれている。平尾の音色が言葉と織りなす色彩豊かな世界にも注目したい。5/7(日)14:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp そのON・OFFという考え方は、日本の伝統芸能を学ぶ過程を示す“守破離”(しゅ・は・り)のサイクルとつながっているという。 「心に留めている、好きな言葉です。 まず“守る”。師匠から教えていただいたものを自分の中で消化する段階。デビューしてまもない2017~18年頃の活動がその位置付けになります。 次が“破る”。教わった伝統をいったん壊して、自分なりの表現を見つける段階。僕の場合はクラシックとのコラボレーションの中で、多くを学ぶことができました。 そして“離れる”。今回のアルバムでは、伝統から一度離れて、楽器が箏だということさえ考えませんでした。それが“OFF”。ジャンルにも関係なく、自分の好きな音楽を、完全に自分の技術とセンスと知識とで表現しようと思いました。 僕はこの“守破離”を直線でなく、ループで考えています。一生勉強し続けるものですから。いったん離れて古典を見つめ直すことで新たな発見があり、もう一度守りのフェーズに入ってCD『GRID//OFF』日本コロムビアCOCQ-85603 ¥3300(税込)※オリジナルスマホ壁紙をプレゼント!詳細はP.71をご覧ください。いく。僕なんかまだそのサイクルの1周目ですが、その軌道は螺旋状に拡大していくのだろうなと思っています」 東京公演のプログラムはライヒ、坂本龍一、吉松隆から、網守将平、坂東祐大らの新鋭、そして自作まで。裏テーマは「グルーヴ」だ。 「もし箏に興味がなくても、そんなことに関係なく、“音楽”をかっこよく楽しく聴いていただける場になると思います。ぜひ!」取材・文:宮本 明平尾はるな ©武藤 章文:長井進之介©日本コロムビア平尾はるな ピアノコスモス2023 ベーゼンドルファーコンサート円熟のピアニズムと語りが紡ぎ出す温かな物語 幼少期から安川加壽子に師事し、東京藝術大学附属高等学校、同大学を経てパリ国立高等音楽院で学んだピアニストの平尾はるな。多彩な演奏活動を展開する彼女は幅広いレパートリーで聴衆を魅了してきた。昨年リリースしたCD『PIANO COSMOS』が『レコード芸術』特選盤に選ばれるなど、さらに目覚ましい活動を展開する。 今回のリサイタルは、父である故・平尾貴四男唯一のピアノ・ソナタに加え、モーツァルトの作品が並ぶ優美なプログラムとなっている。美しく気品あふ
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