eぶらあぼ 2023.5月号
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5/9(火) 長崎県立美術館 2Fホール、5/13(土) 広島/WAKOゲバントホール、5/16(火) 豊中市立文化芸術センター アクア文化ホール(中)、5/17(水) 名古屋/電気文化会館 ザ・コンサートホール、5/19(金) サントリーホール ブルーローズ(小)、5/22(月) 札幌/ザ・ルーテルホール問 日本楽友協会 ngk@npo-ngk.com https://www.jmassoc.info※共演者は会場により異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。57Interview海野幹雄(チェロ)生誕180年のグリーグのチェロ曲を中心に構成 2008年から継続してリサイタルを積み上げてきているチェリストの海野幹雄が、今年もリサイタルを開催する。毎回プログラミングが興味深いが、今回はグリーグを中心に「周年の作曲家」を取り上げる。 「とにかく弾きたいと思う作品が多くて毎年迷うのですが、グリーグのチェロ・ソナタは以前から大好きな作品で、このシリーズでいつか取り上げようと思っていました。たまたま2023年がグリーグ生誕180年にあたるので、周年を迎える作曲家を集めてみたらどうか、と思い付いてプログラミングしました」 グリーグのチェロ・ソナタ(1883年作曲)はこれまでにも何度か演奏してきた作品だ。 「グリーグの中にある愛国心というか、故郷を想う気持ちが強く感じられる作品ですね。北欧の風土、例えば白夜もあれば、陽のほとんど出ない季節もある、そういう風土に生きた人の感情がとてもよく表現されている作品です。一緒に演奏する間奏曲は“EG115”という分類がされていますが、これは作品番号を持たない曲に付けられた番号で、出版されたのは作曲家の死後かもしれません。たまたまチェロ・ソナタの楽譜と一緒になっていて、数少ないグリーグのチェロ曲として演奏したいと思いまし「タイスの瞑想曲」などの美しい名旋律に加え、ヴァイオリンの超絶技巧がふんだんに取り入れられたハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲ニ短調などが並ぶ。中国と西洋、それぞれの弦楽器の魅力が重なり合うことで名曲たちに新たな色彩と輝きが加わり、これまでにない音の世界を体験できるはずだ。た」 そのグリーグの間に挟まれているのが20世紀イギリスを代表するブリテン(生誕110年)、やはり20世紀ハンガリーを代表するリゲティ(生誕100年)というふたりの作品だ。 「ブリテンは無伴奏チェロ組曲を継続して取り上げてきましたが、今回はピアノとチェロのためのソナタを演奏します。開放弦、ピッツィカート、重音奏法、サルタンド(弓を弾ませる奏法)等、チェロの特色を存分に取り入れた作品で、ブリテンの作曲家としての力量を感じさせる作品だと思います。 またリゲティというと、難解な現代音楽を書いた人というイメージでみんな構えてしまうかもしれませんが、この無伴奏チェロ・ソナタは比較的初期の作品。2つの楽章から構成されていますが、その最初の楽章は秘かに恋をしていた女性チェリストのために書いた作海野幹雄チェロ・リサイタル2023 6/4(日)14:00 Hakuju Hall問 新演コンサート03-6384-2498 http://www.shin-en.jp品が元になっていて、後にもうひとつの楽章を加えて完成させた曲です。リゲティ作品としてはとても聴きやすいので、楽しんでいただけるはずです」 いずれもヨーロッパ音楽の主流とも言えるドイツ、フランスとは違う風土から登場してきた作曲家たちの作品は、もうひとつのヨーロッパの姿を教えてくれるだろう。取材・文:片桐卓也文:長井進之介©Shiozawa Hidekiツァオ・レイ(趙磊) 無限動2023 〜新しい風〜トップアーティストが魅せる、二胡がもつ無限の可能性 現在、中国で最も注目を集める二胡奏者の一人であるツァオ・レイ。上海民族楽器コンクール優勝など、数多くの受賞歴がその実力を裏付けている。さらに“二胡は二弦の楽器だが、可能性は「無限」である”という信念のもと、クラシックやジャズ、タップダンスに雅楽など、多くのアーティストと共演を重ね、国やジャンルを超えたコラボレーションで培った幅広い音楽性によって強い存在感を示している。 常に様々な可能性を探求してきた彼が今回挑むのは、ピアノ、チェロとのアンサンブル。プログラムには二胡の代表曲ともいえる「蘇州夜曲」、マスネの

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