eぶらあぼ 2023.5月号
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6/27(火)19:00 浜離宮朝日ホール6/29(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール6/30(金)19:00 愛知/刈谷市総合文化センター アイリス7/1(土)、7/2(日)各日14:00 紀尾井ホール7/4(火)14:00 大阪/住友生命いずみホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677  住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188(7/4のみ)https://www.proarte.jp※プログラムにより出演者が異なります。公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。51 「パパ・ハイドン」と親しみを込めて呼ばれるヨーゼフ・ハイドンが活躍したアイゼンシュタット(現オーストリア)にあるハンガリー系貴族エスターハージ家が居を構えたエスターハージ城は、ハイドンの生きた18世紀の面影を残す。城内の「ハイドン・ザール」を本拠地として1987年に結成されたハイドン・フィルハーモニーは、ウィーン・フィルのメンバーをはじめとしてオーストリア、ハンガリーなどの俊英演奏家を集めて活動を続けている。創設指揮者であるアダム・フィッシャー、次いでニコラ・アルトシュテットが芸術監督を務めてきたが、2022年からはアルトシュテットに加え、イタリア・バロック界の鬼才エンリコ・オノフリがアーティスティック・パートナーとなり、さらに注目を集めている。 そのオノフリ指揮によるハイドン・フィルの公演が6月から7月にかけて日本で開催される。まず東京(東京オペラシティ)、愛知、大阪の3公演は、元ベルリン・フィルの首席トランペット奏エンリコ・オノフリ ©chico De Luigiガボール・タルケヴィ渡邉の人柄を表すように、温かく心休まる響きに満ちている。慈愛に満ちた演奏が展開されることだろう。また、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より「シャコンヌ」も演奏される。ヴァイオリンよりも遥かにサイズが大きいチェロで、速いパッセージや重音を弾くことは困難を極める。プログラムの最後にこの難曲を置いたことに、渡邉の自信と気迫が感じられる。名演を期待したい。5/27(土)19:00 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール問 陽向企画Webサイト https://youkouconcert.studio.site者ガボール・タルケヴィとウィーン・フィルの首席フルート奏者ワルター・アウアーが加わって、ハイドンのトランペット協奏曲、モーツァルトのフルート協奏曲第2番、そしてベートーヴェンの交響曲第5番「運命」が演奏される。それぞれの協奏曲におけるソリストの妙技にも期待が高まるが、オノフリが指揮するベートーヴェンも、この優れたオーケストラからどんな表情を引き出すか、興味が尽きない。 さらにはオノフリ指揮ハイドン・フィル単独で、ハイドン兄弟(ヨーゼフと弟ミヒャエル)の交響曲、ベートーヴェンの「運命」を並べたコンサート(6/27)もワルター・アウアー中村太地 ©Ayane Shindoある。そして注目の日本人ソリストと共演する2公演も用意された。ウィーンで学び、2017年にブラームス国際コンクールで日本人として初優勝した中村太地はベートーヴェンの傑作、ヴァイオリン協奏曲に挑む(7/1)。そして、モダン・ピアノだけでなく歴史的ピアノの研究、演奏でも知られる久元祐子とは愛称「ジュナミ」で知られるモーツァルトのピアノ協奏曲第9番を共演する(7/2)。 実力あるソリストを迎えて、古典派中心のプログラムで展開される今回のハイドン・フィルのツアーは、初夏の日本に鮮烈な印象を残すだろう。文:長谷川京介文:片桐卓也久元祐子 ©武藤 章©平舘 平J.S.バッハと共に 渡邉辰紀 チェロ独奏ベテランがいま改めて真摯に向き合う無伴奏チェロ組曲 東京フィルハーモニー交響楽団首席チェロ奏者として、いぶし銀の存在感を放つ渡邉辰紀が、東京で初の完全ソロコンサートを開く。普通なら「渡邉辰紀チェロ・リサイタル」と銘打つところを「J.S.バッハと共に」としたわけを、「私にとってバッハは神に等しいので、神と共に在りたいという気持ちをあらわした」とバッハへの畏敬を語る。 コンサートでは無伴奏チェロ組曲から第1番、第2番、第3番の3曲が演奏される。映像で聴く渡邉の第1番プレリュードは、底鳴りのするチェロに深みがあり、ハイドン・フィルハーモニー 2023イタリアの鬼才オノフリが振る「ハイドン」の佳品の数々

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