eぶらあぼ 2023.5月号
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第257回 土曜マチネーシリーズ 5/13(土)第257回 日曜マチネーシリーズ 5/14(日) 各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp 矢部達哉率いる「晴れオケ」ことトリトン晴れた海のオーケストラ。指揮者なしのオーケストラとして、2018年から21年にかけて全5回にわたって行ったベートーヴェン交響曲全曲演奏会は大きな話題を呼んだ。とりわけ21年の「第九」はNHKで放送され、CDもリリースされたこともあって、多くの人々に聴かれることになった。指揮者なしであっても、これほどはっきりしたビジョンと意志に貫かれた「顔のある」ベートーヴェンを生み出すことができるとは。そんな驚きを感じた人が多かったのではないだろうか。 その「晴れオケ」のベートーヴェンがふたたび始まろうとしている。10月2150矢部達哉 ©大窪道治篠㟢友美たワーグナー作品。この前奏曲は、楽劇の最後にあたる「愛の死」と組み合わせて演奏されることが多い。今回はその代わりに、死の葛藤から浄化(変容)へと至るシュトラウスの交響詩がマッチングされる。2人の作曲家の死生観を繋ぎ合わせることで、最後はより広がりをもった日の交響曲第1番を皮切りに、来年1月14日には交響曲第2番が演奏される。2027年のベートーヴェン没後200年の記念イヤーに向けて、交響曲全曲ツィクルスの2巡目がスタートするのだ。 最初のツィクルスでは交響曲のみが集中的に演奏されていたが、2巡目では協奏曲なども演奏される。交響曲第1番と組み合わされるのは「コリオラン」序曲と、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲。ヴァイオリン独奏を矢部達哉、ヴィオラ【第13回】10/21(土) 【第14回】2024.1/14(日)各日14:00 第一生命ホール 5/23(火)発売問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net沖澤のどか ©読響横山幸雄 ©ZIGEN救済が導かれるのではないだろうか。 それも、沖澤ならではの整えられたバランスから導かれるアグレッシブな音楽があってこそ。エルガーからシュトラウスまで、それぞれの作品に見合った陰影の彩度を深く表現する読響の実力にも期待したい。三浦文彰 ©Yuji Horiトリトン晴れた海のオーケストラ ©大窪道治独奏を篠㟢友美が務める。一方、交響曲第2番と組み合わされるのは、同じベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番。横山幸雄が独奏を務める。実は「晴れオケ」誕生2年目にも同じ独奏者でベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会を行っており、これが最初のベートーヴェン交響曲ツィクルスの原動力になったという経緯がある。 異例の2巡目を迎えるベートーヴェン。はたしてどんな音楽が生まれてくるのだろうか。文:鈴木淳史文:飯尾洋一沖澤のどか(指揮) 読売日本交響楽団躍進著しいマエストロの深遠なプログラム 2021年10月に読響にデビューし、スケール感のある演奏で評判を呼んだ沖澤のどか。ブザンソン国際指揮者コンクール優勝者であり、現在もっとも評価が高い若手指揮者が読響の指揮台に帰ってくる。 今回の土曜・日曜マチネーシリーズには、聴き応えのあるプログラムを用意。示唆に富み、重厚ささえ漂う内容だ。 演奏会は、壮大にしてロマンティックな大曲、エルガーのヴァイオリン協奏曲で始まる。ソリストを務める三浦文彰が、2年かけて準備してきた作品だという。若手スターとして歩んできた三浦が、さらに磨き抜かれた成熟のヴァイオリンを聴かせてくれるだろう。 後半は、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と、R.シュトラウスの交響詩「死と変容」を続けて演奏するという。ユニークな試みだ。 愛は死によってしか解決しないというテーマを先鋭的なスタイルで音楽化しトリトン晴れた海のオーケストラ 第13回・第14回演奏会ベートーヴェン・ツィクルスI ・Ⅱ好評を博したベートーヴェン・ ツィクルス再び!

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