eぶらあぼ 2023.5月号
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36Interview樫本大進(ヴァイオリン)絶好調の名手が注目の新コンビと最高の名曲を奏でる ベルリン・フィルの第1コンサートマスターを務めながら、ソリストとしても活躍を続ける世界的ヴァイオリニスト・樫本大進。今年1~2月にフランスのピアニスト、エリック・ル・サージュと「シューマン&ブラームス 全曲ヴァイオリン・ソナタ・チクルス vol.1」を行い、濃密かつ味わい深い演奏で魅了した彼が、今度はこの6~7月、山田和樹指揮/バーミンガム市交響楽団の日本ツアーにソリストとして参加し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を披露する。 山田和樹&バーミンガム市響とは、2022年5月の現地での定期(ブルッフの協奏曲第1番)以来、今回が2度目の共演となる。ただし山田との関係は長く深い。 「山田和樹さんとは10年来の付き合い。同じベルリンに住んでいて家も遠くないので、食事を共にするなどプライベートな交流もあります。またコンサートでも、ベートーヴェン、サン=サーンスの協奏曲など、これまでに4~5回共演しています。彼の指揮は本当に素晴らしい。音楽がとても自然で、ヨーロッパの演奏家を一瞬で自分の方に引き寄せる、アジア人には稀な才能を持った方だと思います。しかも協奏曲が大好きで合わせも得意なので、共演していて気持ちがいい。話し合いなどしなくても自然に合うケースが多々あります」 山田和樹が今年4月から首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任したバーミンガム市響にも好印象を抱いている。 「こちらもやはり素晴らしいオーケストラです。ラトルやネルソンスなど歴代の山田和樹指揮 バーミンガム市交響楽団 6/25(日) 14:00 横浜みなとみらいホール ★6/29(木) 19:00 サントリーホール ◎6/30(金) 19:00 サントリーホール ★問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212https://www.japanarts.co.jp※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。名シェフに鍛えられていて、エネルギーがあります。山田さんと新しい時代に入ろうとしている今は、特にワクワクさせられますね。それにブリリアントで機能的なロンドンのオーケストラとは持ち味が全く違っていて、唸るような奥深い音を目指しているようにも感じます」 ブラームスの協奏曲は、「山田さんと話し合い、互いに様々な曲を出し合った結果」決まったという。 「昔から何度も弾いている曲ですが、山田さんの指揮では初めてで、日本での演奏も久しぶりです。この曲はベートーヴェンの作品と並ぶヴァイオリン協奏曲の王様のような存在。ヨーロッパではこれら2曲が一番多く弾かれています。曲自体はこの上なくいい音楽。すべてが求められ、すべてに魅せるものがありますし、自分の中にあるすべての可能性を出し尽くさないと、納得できる演奏にならない曲でもあります」 ベルリン・フィルのコンサートマスターが、別の欧州名門楽団で協奏曲の他公演6/23(金) 熊本県立劇場 コンサートホール ★6/24(土) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール ★6/27(火) 石川県立音楽堂 コンサートホール ★6/28(水) 文京シビックホール ◎7/1(土) 愛知県芸術劇場 コンサートホール ◎★=樫本大進 ◎=チョ・ソンジン)新型コロナウイルスの影響で、公演やイベントが延期・中止になる場合があります。掲載している公演の最新情報は、それぞれの主催者のホームページなどでご確認ください。取材・文:柴田克彦ソリストを務める点も興味をそそる。 「私は、ベルリン・フィル入団前に様々なオーケストラと協奏曲を沢山演奏していたので、この方が慣れていますし、共演に臨む姿勢を特に変えることもありません。先のバーミンガム市響との共演も凄く楽しかったですよ」 また今回は、山田和樹がバーミンガム市響のシェフに就任後、初の日本ツアーとなる。そこで樫本は、プログラム後半の2曲─エルガーの交響曲第1番とラフマニノフの交響曲第2番。なお他にチョ・ソンジンがソロを弾くショパンのピアノ協奏曲第2番もある─にも言及する。 「山田さんがイギリスのオーケストラのシェフに就任後すぐにエルガーの交響曲に挑戦するのは偉いと思います。ラフマニノフの交響曲第2番は、22年のBBCプロムスで演奏して絶賛された、彼らの中では出来上がった作品。きっと凄い演奏になるでしょう」 樫本のソロともども、本ツアーへの期待は大きい。©寺司正彦

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