eぶらあぼ 2023.5月号
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34出場している和歌山のトップバンドのひとつだ。 椛、浩輝、昴史の3人はそんな星林高校吹奏楽部の演奏に憧れて2020年春に入学してきた。だが、すでにコロナ禍が日本中を覆い尽くしており、高1のときは思うような活動ができなかった。コンクールも中止。貴重な青春の日々が削り取られていくのに、なすすべもなかった。 高2では、10月末に和歌山県で開催される「紀の国わかやま文化祭2021」に星林高校吹奏楽部も清水大輔作曲《エルトゥールル号の記憶》、エドワー コロナ禍も3年が過ぎ、ぶらあぼ編集部では多くの音楽家から吹奏楽部の苦難の状況を耳にしてきました。そこで吹奏楽と言えばこの方、吹奏楽作家のオザワ部長が吹奏楽部を応援するこのシリーズ。音楽へひたむきな情熱を燃やす若者の姿は、見ている私たちも元気にしてくれます。 2023年1月18日、皇居で新年恒例の「歌会始の儀」が行われ、このような歌が披露された。《コロナ禍に友と楽器を奏でうる喜び語る生徒らの笑み》 作者は、天皇陛下。そして、この歌の中に登場する「生徒ら」は、実在の高校生たちを指している。和歌山県立星林高等学校吹奏楽部のファゴット担当・近西椛(もみじ)、コントラバス担当・末永浩輝、パーカッション担当・有本昴史(たかし)の3人だ。 浩輝は自宅で歌会始の儀の様子を放送するテレビ番組を見ながら、こう思った。「俺たちのことを覚えていてくださったんやな」 浩輝の胸に忘れがたい記憶が蘇った。 顧問の森貞昌春先生が指導する星林高校吹奏楽部は、2022年度までに吹奏楽コンクールで関西大会A部門に21回、マーチングコンテストで関西大会に12回天皇陛下の歌に詠まれた吹奏楽部員たち♪♪♪取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)Vol.9 和歌山県立星林高等学校 吹奏楽部

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