eぶらあぼ 2023.4月号
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4/28(金)19:00 大阪/箕面市立メイプルホール問 箕面市メイプル文化財団072-721-2123 https://minoh-bunka.com 大阪府北部に位置する箕面(みのお)市は、人口約14万人の自然豊かな街だ。大阪中心部からのアクセスの良さもあって、箕面は関西屈指の人気住宅地でもある。1988年開館の箕面市立メイプルホールは、長らくこの街の音楽文化の発信基地として地域住民に親しまれてきた。 同ホールが提案する公演ラインナップ「身近なホールのクラシック」は、実に意欲的でバラエティ豊かだ。登場するアーティストはギル・シャハムやレ・ヴァン・フランセといった世界トップクラスの演奏家から、北村朋幹や坂入健司郎のような俊英まで、個性溢れる音楽家ばかり。取り上げるレパートリーも、有名曲だけでなく、ケージから若手作曲家への委嘱作品まで幅広い。 「身近なホールのクラシック」は単なるコンサート・シリーズにとどまらない。音楽の専門家を招いて生涯学習講座を開き、その内容をプログラムとリンクさせて聴き手の好奇心を刺激し、作品に対する理解を深めてもらうことも大切にしている。とりわけ箕面市民でもある音楽学者の伊東信宏による「中欧音楽夜話」は、2017年春の開講以来、瞬く間に人気講座となった。 メイプルホールの名が広く知られるようになったきっかけは、21年6月の坂入健司郎と大阪交響楽団の初共演だ。坂入と大阪響のベートーヴェンの交響曲第7番は大きなうねりを生み出し、満席のホールは熱狂に包まれた。この演奏会の成功はSNSで拡散され、若き指揮者と老舗オーケストラ、そして地域ホールのコラボレーションが日本中のクラシック音楽ファンのタイムラインを駆け巡った。 この公演をきっかけに新たにスタートしたプロジェクトが坂入と大阪響の「ブラームス交響曲全曲演奏会」である。坂入と大阪響は、メイプルホールで3年をかけて4曲の交響曲をひとつずつ演奏する。またブラームスの登場以前にドイツ・オーストリア音楽をかたちづくったバッハ、ハイドン、モーツァル箕面市立メイプルホール 身近なホールのクラシックブラームス交響曲全曲演奏会 Vol.2加速度を増す若きマエストロと老舗オーケストラのコンビネーション文:八木宏之名演をきっかけに新シリーズがスタート!ト、シューベルト、メンデルスゾーンや、ブラームスの影響を受けたドヴォルザークの作品も取り上げ、4回の演奏会を通してドイツ・オーストリア音楽の歴史と変遷を追体験できる趣向となっている。 昨年9月に行われた第1回演奏会で、瑞々しくも力強い交響曲第1番を聴かせた坂入が、4月28日の第2回演奏会で挑むのは、ベートーヴェンのプレッシャーから解放されたブラームスが自らの個性をより強く表出した交響曲第2番である。この作品の持つ流麗な美しさを坂入はどのように引き出すのだろうか。前半にはブラームスと同じニ長調で書かれたモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」と、坂入がドイツ音楽を語るうえで欠かすことのできない親密な空間で愉しむこだわりのプログラム作品と評するメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲も演奏される。今日ブラームスの交響曲が座席数501席のホールで演奏される機会はあまりないが、ブラームスの生きた19世紀には、メイプルホールと同じくらいの大きさのホールで演奏されることのほうが多かった。このホールだからこそ味わえるオーケストラの細かなニュアンスを思う存分堪能したい。 メイプルホールはこの演奏会でも、音楽をより深く楽しむための講座を用意している。坂入に直接質問することのできる「マエストロ・サロン」(4/26)のほか、指揮者とオーケストラが音楽を作り上げる白熱のプロセスを観察する「ゲネプロ見学会」(4/28)も開催される。若き指揮者と老舗オーケストラが地域ホールで作り上げる新たなブラームスの世界を、どうか隅々まで楽しんでほしい。坂入健司郎 ©樋川智昭77

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