eぶらあぼ 2023.4月号
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第973回 定期演奏会Aシリーズ 4/21(金)19:00 東京文化会館問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp8/26(土)、8/27(日)各日14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.netば独立して取り上げられる名旋律。 この演奏会のもう一つの目玉は、チェロ界の超大型新人・上野通明がルトスワフスキの協奏曲を弾くことだ。ロストロポーヴィチのアドバイスを受けながら作曲された本作は屈指の難曲として知られるが、上野は2021年のジュネーヴ国際音楽コンクールのファイナ大野和士 ©Fumiaki Fujimoto三浦一馬 ©Toshinori Iida“ダブル・ソリスト版”初演だ。録音で聴くピアソラ自身のこの曲の演奏はかなり自由で、強烈な存在感が溢れている。現代の名手が二人で、そこにどう挑み、どんな感性でピアソラの魂を受け取るのか。“ピアソラ専門”のTGSがマルコーニの書き下ろし新作を演奏するのも注目だ。 過去には追加公演が設定されるなど毎回完売がお決まりの人気公演。今回は最初から2デイズだが油断禁物。すでに発売中で、席はどんどん埋まっている模様。今すぐチケットサイトへ!ネストロ・マルコーニ ©Guillermo Monteleone文:江藤光紀文:宮本 明上野通明ルで取り上げ、見事優勝を飾った。この時の演奏はYouTubeで配信されているが、すさまじい集中力と圧倒的なテクニックに支えられた憑依型の演奏には、普段現代音楽を敬して遠ざけている方も引きずり込まれること必至(上野の熱気に押されてか、オケも熱い)。あの怪演、今度は生で味わいたい。72大野和士(指揮) 東京都交響楽団イギリス・プロと気鋭チェリストが弾く難曲ルトスワフスキ 4月の都響定期は音楽監督・大野和士の指揮でイギリス音楽をメインとするプログラムを披露する。 まずは英作曲界のスター、マーク=アンソニー・ターネジの「タイム・フライズ」。都響がBBC、NDRエルプフィルと共同委嘱した作品で、それぞれのオーケストラの本拠地となる都市のイメージを音楽化したもの。軽快な旋律が堆積する「London Time」、堂々としたサウンドで綴る「Hamburg Time」、そしてジャジーでどこかユーモラスな「Tokyo Time」の3楽章からなる。東京2020オリンピック・パラリンピックの年に東京で初演の予定だったが、昨年の延期公演までも流れ、今回が三度目の正直。 メインにくるのはエルガーの「エニグマ変奏曲」。自身の創作主題に14の変奏が続くが、それぞれに友人のイニシャルや愛称が付され、まさに作曲家の身近なところから生まれた音楽だ。第9変奏にあたる「ニムロッド」はしばし三浦一馬(バンドネオン) 東京グランド・ソロイスツ(TGS) 第7回演奏会 プレミアムコンサートピアソラの名品と巨匠マルコーニの新作で師弟のサウンドに酔う 三浦一馬が2017年に起ち上げた東京グランド・ソロイスツ(TGS)は、第一生命ホールを拠点とする、ピアソラ演奏に特化した室内オーケストラ。編成は、三浦のバンドネオンと、ソロ・ヴァイオリン(石田泰尚)、ヴァイオリン6、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス2、パーカッション、ギター、ピアノ。ピアソラの鋭い切れ味とクラシックの洗練が混合した独自のサウンドで、現代的にアップデートしたピアソラを生んでいる。 今回そこに、三浦の師であるネストル・マルコーニが加わる。現代最高峰のバンドネオン奏者。2006年、来日中のマルコーニを高校1年生の三浦が別府の寿司屋にアポなし突撃。その場で演奏を聴いてもらい弟子入りの約束を取り付けたのは有名なエピソードだ。三浦の弾く愛器アルフレッド・アーノルドも師から譲り受けた楽器。 公演の見せ場はピアソラのバンドネオン協奏曲。なんと彼らが二人で弾く

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