eぶらあぼ 2023.4月号
67/157

〜N響メンバーによる室内楽シリーズ〜N響チェンバー・ソロイスツ 第5回 木管2番奏者による特殊管の世界6/23(金)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jpInterview梶川真歩(フルート)2番奏者と特殊管が生み出す清新な音楽世界 ソロや室内楽でも活躍するNHK交響楽団フルート奏者・梶川真歩。彼女はこの6月、Hakuju Hallの「N響チェンバー・ソロイスツ」第5回に出演する。当シリーズは「N響メンバーが奏でる音楽を間近で味わっていただきたい」との思いで「将来を担う世代を中心に行っている」企画。今回は「木管2番奏者による特殊管の世界」と題した興味津々の内容だ。 「普段は1番奏者に臨機応変に合わせたり、和音の内声を作ったりするなど細かな気配りをしている2番奏者が集まったアンサンブルと、2番奏者がソリスティックな役割を果たす特殊管をまとめて聴いていただき、色々な顔を持つ奏者の演奏に触れてほしいと思いました」 出演者は、彼女のほか、池田昭子(オーボエ)、松本健司、山根孝司(以上クラリネット) 、佐藤由起(ファゴット) 、野見山和子(ホルン)の6名。「女性4名は、男性クラリネット奏者を交代で加えながら、アウトリーチ等で木管五重奏を披露してきた」メンバーでもある。 プログラムの1つは特殊管が活躍する管弦楽曲。これらは通常の木管五重奏と共に演奏される。 「ムソルグスキーの『展覧会の絵』の“ビドロ(牛車)”を野見山さんがワーグナーテューバで、ラヴェルの『マ・メー実、選曲構成の奥深さたるや。J.S.バッハ(コルトー編)という深遠とロマンティシズムの妙味で開始。続くリストでは、繊細さと煌めくピアニズムの小品から、ダンテの「神曲」という巨大なテーマを持つ「ソナタ風幻想曲」。ロマン派に開花した高い技巧とポエティックな作風の極みとなるリストのあと、いよいよ思索の森へと誘うシューマンの「クライスレリアーナ」。魅惑の音楽の森へ、いざ!4/30(日)14:30 王子ホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jpル・ロワ』の“美女と野獣の対話”を佐藤さんがコントラファゴットで、ドヴォルザークの『新世界から』の第2楽章を池田さんがコールアングレで吹きます。特に後の2曲は2人がN響でも素晴らしいソロを聴かせている作品です」 さらにレアな演目もある。 「モーツァルトの『6つの二重奏曲』第1番を私のピッコロと松本さんのE♭(エス)クラリネットで演奏します。これはフルート2本の定番曲を超高音楽器2本で吹く前代未聞の試み。2番奏者から首席になった松本さんはE♭クラの名手ですので、楽しみにしています。さらには、以前、欧州の現代音楽グループで活動されていた山根さんがバスクラリネットでアペルギス作曲の現代曲、私がバロックフルートに似た幽玄な音を持つアルトフルートでバッハのパルティータを披露します。いずれも無伴奏曲で、両楽器のソロに触れる貴重な機会になると思います」 最後はヤナーチェクの組曲「青春」。 「木管五重奏にバスクラリネットを加えた珍しい編成の作品。民族色に溢れたとてもいい曲です。ただ編成的に通常のコンサートには入れにくいので、メンバーが揃った今回ぜひやりたいなと。それに完成度の高いオリジナル作品を全員で演奏して終わりたいと考えました」 親密な小空間で他に類のない演目を堪能できる本公演。彼女も「クラシックに馴染みのない方もお楽しみいただけますし、マニアの方は普段と違う感覚を身近で味わえます」と語る万人注目の一夜だ。取材・文:柴田克彦©Makoto Kamiya 文:上田弘子64高樋純子 ピアノリサイタル2023 〜イマジネーションと思索の彼方へ〜知的好奇心をくすぐるプログラミング お茶の水女子大学、同大学院修了後、インディアナ大学のアレクサンドル・トラーゼのもとで研鑚を積んだ高樋純子。トラーゼは昨年急逝したジョージア(グルジア)出身の名ピアニストで、日本ではNHK放映の「スーパーピアノレッスン」の講師としてもお馴染みである。トラーゼほか、恩師らの顔ぶれからも、高樋の音楽観や音楽哲学が感じ取れる。 そして今回のリサイタルのテーマ「イマジネーションと思索の彼方へ」である。プログラムは一見するとバランス良く組まれているようだが、その

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る