eぶらあぼ 2023.4月号
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4/21(金)19:00、4/22(土)15:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp※ライヒ本人は出演しません もう1つ重要なポイントが東京シティ・フィルの稀に見る充実ぶりだ。高関健のシェフ就任から8年を経て、アンサンブルの精度とサウンドの輝きが大幅に増している。今回の演目は、交響曲第8番と第4番「ロマンティック」。重層的でドラマティックな最高傑作と、明快で旋律美に溢れた人気作であり、前者は20年、後者は22年に高関が同楽団と精緻で堅牢な快演を残してもいる。80歳を超えて持ち前の重厚感と雄大さに味わいや行間の妙を加えた円熟の巨匠・飯守が、クオリティアップした今の東京シ交響曲第8番 4/7(金) 交響曲第4番 4/24(月)各日19:00 サントリーホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp入れるのだ。ミニマル・ミュージックが単調でつまらないものだと誤解している人がコリン・カリーによるライヒを聴けば、必ずや驚くに違いない。 ライヒ本人こそ来日しないが、プログラムも理想的だ。ライヒが念願のピューリッツァー賞音楽部門を初めて手にした「ダブル・セクステット」を、事前録音+コリン・カリー・グループ ©Chris Gloagスティーヴ・ライヒ ©Wonge Bergmann六重奏ではなく12人で生演奏。そして最新作のひとつ「トラベラーズ・プレイヤー」は、ベートーヴェンやマーラーが晩年に手掛けた緩徐楽章に通じる深遠な音楽で日本初演される。そして日本では15年ぶりに演奏されるライヒの代表作「18人の音楽家のための音楽」を新時代の解釈で聴けるのだから文句なしだ。飯守泰次郎 ©K.Miuraティ・フィルでいかなるブルックナーを聴かせてくれるのか? 歴史的名演の予感が強く漂う。文:柴田克彦文:小室敬幸55東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 特別演奏会飯守泰次郎のブルックナー円熟の巨匠と絶好調の楽団がおくる必聴の大作 飯守泰次郎&東京シティ・フィルのブルックナーの交響曲…この文句なしに聴くべき公演が、同楽団の特別演奏会として行われる。日本に並ぶ者なきドイツ音楽の泰斗・飯守は、現在桂冠名誉指揮者のポストを持つ同楽団と25年の長きにわたって共に歩み、ワーグナーをはじめ数々のシリーズで多大な成果を挙げてきた。すなわち東京シティ・フィルは飯守の音楽作りを最もよく理解している楽団だ。その象徴が2021年の《ニーベルングの指環》ハイライト特別演奏会。そこでの壮大かつ奥深い音楽は多方面から激賞された。ブルックナーの交響曲も然り。当コンビは、1998~2004年と12~16年の二度ツィクルスを行い、大絶賛を博している。また飯守は関西フィルとの11年におよぶ全交響曲ツィクルスを22年に完結したばかり。7年ぶりとなる今回の東京シティ・フィルとの取り組みに絶大な期待が集まるのは、むろん言うまでもない。コリン・カリー・グループ ライヒ《18人の音楽家のための音楽》聴き手の感性を刺激する衝撃のミニマル体験ふたたび! 一切の誇張なくこの20年間に足を運んだ公演の中で、最も忘れ難いもののひとつが、2012年12月に東京オペラシティで聴いた、イギリス人打楽器奏者コリン・カリー率いるコリン・カリー・グループだ。普段はクラシックを聴かないであろう客層がホールを埋め尽くし、ポール・マッカートニーやマドンナを出迎えるかのような熱狂で来日したスティーヴ・ライヒに喝采を送った光景がとても感動的だったのだ。 もちろんその時のカリーたちの演奏も衝撃的。それまでライヒの大編成アンサンブル作品といえば自作自演の後、現代音楽のスペシャリストたちが取り組むことでより精密な演奏を聴かせるようになったが、むしろコリン・カリー・グループはライヒの音楽から積極的にエモーショナルな要素を引き出していく。以前ならグラデーションのように少しずつ変わるのが良しとされたが、彼らは時に大胆なコントラストを取り

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