eぶらあぼ 2023.4月号
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48僕らは自らの手で「青春」をつくる! 「いつか自分たちで好きな吹奏楽曲を集めたコンサートができたらいいよな」 小森谷拳太郎と松本一星は中学時代、そんな話をしたことがあった。神奈川県の葉山町立南郷中学校吹奏楽部で同じサックスパートに所属する親友同士。ただ、そのときは夢物語だった。 中学を卒業すると拳太郎は横須賀市立横須賀総合高校へ、一星は吹奏楽の強豪である横浜創英高校へ進学することになっていた。ところがその直前、コロナ禍が到来した。2020年春のことだった。 全国一斉臨時休校、吹奏楽コンクールの中止、多くのイベントのキャンセル、無観客の演奏、コロナによる部活停止……。いったいどれほどの悔しさを味わっただろう。気づけば拳太郎や一星は高3になっていた。大切な3年間の高校時代が、すべてがコロナに覆われてしまったのだ。 いよいよ高校生活も終わりが見えかけてきた2022年10月、拳太郎と一星の間にあの「夢物語」が再浮上してきた。「このまま終わるのは嫌だよな」「自分たちの手で思い出を作ろう」 それは、高校生だけでつくり上げる夢のコンサート、というアイディアだった。 ふたりは、信頼できる仲間として横須賀総合高校の藤原実優(2年・クラリネット)と神奈川県立追浜高校の西村美波(1年・クラリネット)、県立逗子高校の田中結菜(3年・パーカッション)に声をかけ、5人体制の実行委員を発足させた。拳太郎は楽団長・指揮者に、一星はコンサートマスターという立場 コロナ禍も3年が過ぎ、ぶらあぼ編集部では多くの音楽家から吹奏楽部の苦難の状況を耳にしてきました。そこで吹奏楽と言えばこの方、吹奏楽作家のオザワ部長が吹奏楽部を応援するこのシリーズ。音楽へひたむきな情熱を燃やす若者の姿は、見ている私たちも元気にしてくれます。取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)♪♪♪今回の立役者、右:小森谷拳太郎さん、左:松本一星さんVol.8 高校生による夢の吹奏楽コンサート

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