eぶらあぼ 2023.4月号
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4/29(土・祝)、4/30(日) びわ湖ホール※音楽祭の詳細は下記ウェブサイトにてご確認ください。文:小味渕彦之中嶋彰子いていることからラテンの要素が入って、最後まではっきり言わない宮廷文化や、わかる人にわかればいい含みを持たせた言葉遊びがあるところなどが京都と似ている。 「びわ湖の春 音楽祭 2023」はオーケストラ公演が大ホールで4公演。京都市交響楽団と日本センチュリー交響楽団が2公演ずつ担う。3公演を阪が指揮して、残り1公演は昨年代役で初めて指揮者として登場し大好評だった鈴木優人がタクトを握る。阪が指揮する公演ではソプラノの老田裕子がびわ湖ホールの主催公演に久々に登場し、モーツァルトのモテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」を歌う。「老田さんとはこれまでも何度も共演していて、とても信頼のおけるソプラノです。度胸の座り具合が半端なくて、彼女が準備してきたことは僕の考えとほぼ一致している」と阪も太鼓判を押す。 小ホールでも上野耕平(サクソフォン)、玉井菜採(ヴァイオリン)、中嶋彰子(ソプラノ)、上村昇(チェロ)、藤木大地(カウンターテナー)と多彩なラインナップが揃った。95歳の田中信昭はびわ湖ホール声楽アンサンブルを指揮する。また邦楽の参加もあり、和楽器の広いネットワークを持つ山内利一が出演。 「年度の初めにお祭りがあるということで、どれだけ盛り上げることができるか今から楽しみです」と阪は意気込む。客席に自分で座ってお客さんの反応をリサーチすることで、次に何をしようかということにつなげていきたいとも。開館から25周年を迎えるびわ湖ホールは節目の年を迎えた。阪 哲朗鈴木優人 ©Marco Borggreve 「びわ湖の春 音楽祭 2023」が4月29日、30日の両日に開催される。びわ湖ホールでは2010年から「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」、18年から「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」として春の音楽祭開催を恒例としてきた。 今年4月1日から同ホール第3代芸術監督に就任する阪哲朗の実質的な監督としてのデビュー公演。「びわ湖ホールをメインにした音楽祭なので、何よりもびわ湖の名前を全面に出したい」という阪の思い入れもあり、今年から名称を変更しての実施となる。コロナ禍前と比較すると規模は小さくなるが、昨年とほぼ同様で、2日間に12公演が予定されている。公演時間が重なっていないため、全公演を聴くことが可能だ。 テーマは「ウィーンの風」。阪が大学を卒業して初めて旅をしたのがウィーンであり、その後に指揮者としての出発点となったのもこの街で、まずはここからのスタートになった。10月に実施する「オペラへの招待」シリーズでモーツァルト《フィガロの結婚》、2024年3月の「プロデュースオペラ」にはR.シュトラウス《ばらの騎士》が並ぶなど、23年度の年間の主催公演でもウィーンに枠組みを求めている。この街の魅力は「初めて訪れた人にも懐かしさがあるところ。旧西側のもっとも東の拠点で各国の寄合世帯のようなところがあって、色々な文化が混ざっている」と阪は話す。ウィーンで一番習ったことは「いいかげんさ」なのだそうだ。音楽も崩していくことの面白さを知っているのがウィーンで、ルールをはみ出るギリギリのところで行われていることが多いとも。同じドイツ語を話しながらも、「すごくなまっている」京都弁みたいで、ドイツとはボキャブラリーも違う。イタリアやフランスを向老田裕子びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://festival.biwako-hall.or.jp/滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロを披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーでは、びわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖の春 音楽祭 2023 〜ウィーンの風〜新たな音楽祭がマエストロの“原点”の楽都をテーマに幕を開ける

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