eぶらあぼ 2023.4月号
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第7回仙台国際音楽コンクール ピアノ部門優勝/チェ・ヒョンロク日本を代表するヴァイオリンの名手・安永徹が、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を“弾き振り”した2013年5月のライブ録音。記録が目的で市販は予定になかったが、22年に聴き返したところ、余りの名演のため、急きょCD化が決まったという。ピアノの市野あゆみを迎えてのモーツァルトの協奏曲は、独奏のニュアンスに、安永の率いるOEKがぴたりと寄り添い、このコンビによるデュオの名演を彷彿させる。かたや、ハイドン「V字」は、拍節感などは踏まえつつも、性急に過ぎぬテンポで音楽を進めつつ、最終楽章のコーダで一気に畳み掛けて、爽快な後味を残す。OEKが“アンサンブル”を名乗る理由が実感できよう。(笹田和人)フランクの生誕200年を記念して、その主要オルガン作品を梅干野安未が録音した。楽器はフランクも愛したカヴァイエ=コルのオルガン(サン・トメール)。死の直前に書かれた「3つのコラール」が味わい深い。コラール第1番は、繊細で神秘的な響きが印象的であり、中間の圧倒的な頂点は実に華麗だ。第2番のパッサカリア変奏とフーガ、第3番の聖霊が舞うようなトッカータなど、晩年の自在な和声による多彩な響きが楽しめる。多楽章構成の「交響的大作」、美しい歌の「パストラル」、悲哀の滲む「祈り」など、いずれもユニーク。フランクのオルガン音楽の魅力を満喫できる見事なアルバムだ。(横原千史)2016年よりリリースが始まったメシアン・ピアノソロ全曲録音の第4弾。相変わらず抜群のテクニックで作るクリアな作品像に驚かされるが、特に本盤は戦前の初期作品から晩年の「鳥の小スケッチ」まで作曲年代が広く、また「4つのリズム・エチュード」のような実験作も含んでおり、作曲家の個性に加えて作風の広がりまでをもしっかりと捉えているあたり、解釈にも磨きがかかっている。宮崎のピアニズムには弾力があり、一つの拍、一つの和音が次の拍、和音を自然に呼び出していく。それはさえずる鳥の生命を描き、また〈火の島〉のような作品では、暴力的なまでのパワーへと高まっていく。(江藤光紀)韓国出身のチェ・ヒョンロクは数々の国際ピアノコンクールに出場しているが、2019年の第7回仙台国際音楽コンクールで優勝。その記念リサイタルでの曲目をレコーディングしたのが本作だ。1曲目のラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」から、デリケートで時に大胆な起伏を聴かせるヒョンロクの深い詩情に惹き込まれる。「夜のガスパール」もかけるべきところにはたっぷりと時間をかけ、かつ自然な流れを生き生きと作るのが非常にうまい。ショパンの「24の前奏曲集」は全曲通して温かな音色に彩られ、機敏なタッチの変化と繊細な音の間合いとに魅了される。(飯田有抄)収録:2013年5月、石川県立音楽堂(ライブ)ナミ・レコードWWCC-7979 ¥2750(税込)コジマ録音ALCD-9245〜9247(3枚組) ¥3960(税込)録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9049 ¥3080(税込)フォンテックFOCD9878 ¥2640(税込)128モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調/ハイドン:交響曲第88番 ト長調「V字」安永徹(コンサートマスター/ヴァイオリン)市野あゆみ(ピアノ)オーケストラ・アンサンブル金沢フランク:3つの作品、6つの作品、3つのコラール梅干野安未(オルガン)メシアン:ファンタジー・ブルレスク、シラヒゲムシクイ(ピーター・ヒル校訂/編)、鳥の小スケッチ、4つのリズム・エチュード、ポール・デュカスの墓前への小品宮崎明香(ピアノ)ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、夜のガスパール/ショパン:24の前奏曲集チェ・ヒョンロク(ピアノ)CDCDCDCDモーツァルト:ピアノ協奏曲第24番、ハイドン:交響曲第88番「V字」/安永徹&市野あゆみ&OEKセザール・フランク 大オルガンのための12の作品/梅■■■■■干野安未メシアン ピアノ作品全集4「鳥の小スケッチ」他/宮崎明香

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