eぶらあぼ 2023.3月号
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第296回 定期演奏会 4/18(火)18:30 大阪市中央公会堂 中集会室第297回 定期演奏会 4/20(木)18:30 東京文化会館(小)問 日本テレマン協会06-6345-1046 yoyaku@cafe-telemann.comhttp://www.cafe-telemann.com3/31(金)18:00 横浜みなとみらいホール(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp日本テレマン協会創立60周年事業 オール・テレマン・プログラム関西屈指のバロック集団が名手とともに飾る周年公演 延原武春は1963年、仲間とアンサンブルを結成した。弾く自分たちも楽しく、聴くお客様も愉快になる音楽。延原は自分たちの理想を、バロック音楽の巨匠の内に見出した。ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681~1767)、その人だ。 テレマンは18世紀のドイツを中心に活躍した音楽家。ライプツィヒでの学生時代に演奏団体を創設、同地のオペラ座の監督にも就任し、大学教会ではオルガニストとして活躍した。宮廷楽長や都市音楽監督を経験したのち、1721年に大都市ハンブルクの音楽責任者の座に就く。その間、声楽から器楽、独奏曲から大規模管弦楽曲まで膨大な作品を残し、1767年に同地で亡くなった。 延原のアンサンブルは、このテレマンの名を冠して活動を始めた。それが現在の日本テレマン協会へと成長していく。2023年は創設から60周年の記念の年。“還暦”の字の通り、同協会が“原点・テレマン”にスポットライトを当てるのは当然のことだ。 4月にはバロック・ヴァイオリンの泰斗で、同協会首席客演コンサートマスターのウッラ・ブンディースをリーダーに迎え、オール・テレマン・プログラムの演奏会を、大阪と東京の2都市で開催た。バッハの「半音階的幻想曲とフーガ」で始まり、ベートーヴェンにメンデルスゾーン、バルトークにスクリャービンを経て、最後はショパンの即興曲第3番と「舟歌」で幕を閉じる。鍵盤音楽の歴史を音で辿りつつも、ただ順番に歴史を追うのではなく、すべての作曲家がバッハの影響を受けていたことを匂わせるように、最も強く影響を受けた一人であろうショパンで終結させるところに強い想いを感じる。奏延原武春者の意図に敏感に反応し、ニュアンスの変化が豊かなピアノであるベーゼンドルファーで奏でられる、多彩な作品の魅力をぜひ堪能してほしい。ウッラ・ブンディースする。3つのトランペットとティンパニのための協奏曲など、聴きたくてもおいそれとは聴けない作品の実演に接することができる、とても貴重な機会だ。もちろんそこにも、延原の目指す「楽しさ」がしっかり息づいている。文:澤谷夏樹文:長井進之介73鮫島明子ピアノリサイタル “還” 〜時は刻み、自然に還る〜ベーゼンドルファーの響きで辿る鍵盤音楽の系譜 鮫島明子は桐朋学園大学卒業後、渡仏し研鑽を積んだピアニスト。パリ・エコールノルマル音楽院を修了後はパリを中心にフランスで演奏活動を行い、帰国後も音楽祭への出演など国際的に活躍を続けている。テーマ性をもったリサイタルや、トークを織り交ぜた音楽の魅力をわかりやすく伝えるコンサートなど、幅広い演奏活動や後進の育成も行っており、音楽文化の発展に大きく貢献する存在である。繊細で、凛とした空気感を漂わせる美しい音色が魅力の彼女はこれまでにモーツァルトとショパンのディスクをリリース。いずれも楽曲の美しさはもちろん、作曲家が作品に込めた想いにまで対峙した解釈の深さによって高い評価を集めている。 2020年9月に行われる予定だったリサイタルはコロナ禍により開催できず、約3年半振りとなる今回のリサイタルでは新たにプログラムが組まれ

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