eぶらあぼ 2023.3月号
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第748回 東京定期演奏会〈春季〉 3/3(金)19:00、3/4(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp4/29(土・祝)14:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jpげている。 今回のリサイタルではシューマンの「クライスレリアーナ」、スクリャービンのピアノ・ソナタ第5番、ラヴェルの「鏡」より〈海原の小舟〉、ラフマニノフの「ショパンの主題による変奏曲」とい小林研一郎 ©山本倫子ベートーヴェン全交響曲演奏会の指揮を14回務めただけでなく、桂冠名誉指揮者を務める日本フィルとも過去にベートーヴェンの交響曲ツィクルスに取り組むなど、ベートーヴェンをもっとも重要なレパートリーの一つとしてきう聴きごたえのあるプログラムが組まれた。かつてのラ・フォル・ジュルネでは鮮烈な技巧と強靭な打鍵から生み出される透き通った音色に感銘を受けたものだが、あれからどのような成長を遂げているのだろうか。金子三勇士 ©Seiichi Saitoた。日本フィルの3月の東京定期演奏会では、80歳を超え、まさに円熟の境地にいる小林が40年以上にわたってコラボレーションを続けている日本フィルとともに、集大成ともいうべき「英雄」を聴かせてくれるに違いない。©Caroline Doutre 文:山田治生文:飯尾洋一69transit Vol.16 マリー=アンジュ・グッチ(ピアノ)ヨーロッパ音楽界で注目を集める気鋭ピアニストが再来日! 若い才能や未知のアーティストを紹介する王子ホールの「transit」シリーズの第16回目に登場するのは、ピアニストのマリー=アンジュ・グッチ。「グッチ」という印象的な名前に聞き覚えがある方も少なくないのではないだろうか。彼女は2018年と19年の「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」ですでに来日している。同音楽祭で抜擢された若い逸材が、数年後に国際的な注目を浴びる新星となって帰ってくるケースはこれまでにもたびたびあったが、グッチもそのひとりに名を連ねることになる。 グッチはアルバニア出身。13歳でパリ国立高等音楽院ピアノ科に飛び級で入学し、ニコラ・アンゲリッシュに師事した。21年3月にはパリ管弦楽団にデビューを果たし、今年4月にはパーヴォ・ヤルヴィ指揮のもとN響定期にもデビューを果たす。すでにベルリン・コンツェルトハウス管やBBC交響楽団と共演するなど、急速に活躍の場を広小林研一郎(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団音楽的故郷でつながる二人が呼応する協奏曲 小林研一郎は、1974年のブダペスト国際指揮者コンクールで第1位を獲得して以来、ハンガリー国立交響楽団(現・ハンガリー国立フィル)の音楽総監督を務めるなど、ハンガリーとの結びつきが非常に強い。ピアニストの金子三勇士は、ハンガリー人の母を持ち、6歳でハンガリーに渡り、ブダペストのリスト音楽院で学んだ。そんな同国との縁の深い二人が、日本フィルハーモニー交響楽団の3月定期演奏会で、ハンガリーを代表する作曲家、リストのピアノ協奏曲第1番を共演する。金子にとってはもちろん十八番のレパートリーであり、華麗なテクニックを披露するに違いない。また、リスト音楽院名誉教授である小林にとってもリストは得意とする作曲家だ。リストへの共感に満ちた演奏が聴けるであろう。 そして後半に取り上げられるのが、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」。どちらの曲も「変ホ長調」であることが興味深い。小林は、大晦日の

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