eぶらあぼ 2023.3月号
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第359回 定期演奏会 3/18(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp6/14(水)19:00 紀尾井ホール 3/17(金)発売問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jpEast meets Westアレクサンダー・ガジェヴ & 三浦謙司 ピアノデュオ・リサイタル話題の個性派ピアニスト二人がみせる化学反応 幾つものコンクール入賞に加え、2021年にはシドニー国際で優勝して間もなくショパン国際で第2位に入賞したアレクサンダー・ガジェヴ。しかもシドニー国際の本審査とショパン国際の予備予選の時期は重なっていたのだから、ガジェヴのエネルギーと集中力には感心するばかり。魅惑のパワーと知的な解釈のガジェヴに対し、柔軟な技巧と絵画のような抒情性を持った音楽の三浦謙司。三浦は19年のロン=ティボー=クレスパン国際での優勝を機に、その名が知れ渡ることとなったが、実力は以前から折り紙付き。この個性がまったく異なる旬な二人が、なんと日本で共演する。6月の紀尾井ホール、題して「East meets West」。 音楽という共通言語を持った、西洋人のガジェヴと東洋人の三浦。国籍や人種の括りすら無用で、多様性を地で行く。二人の音楽での化学反応を想像しただけでもワクワクするではない高関 健 ©K.Miuraチェロ部門の優勝者であり、18年にはルトスワフスキ国際チェロ・コンクールでも第1位を獲得した、世界が注目する若手チェリスト。20世紀半ばのソビエト連邦を代表する作曲家カバレフスキーは大衆にもわかりやすい音楽を書いた。日本で最も知られている彼のアレクサンダー・ガジェヴ ©Andrej Grilcか。連弾で幕開けだろうか。予定されているシューマン「東洋の絵」をどのような音色で奏でるのだろう。リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」、チャイコフスキー「くるみ割り人形」、ストラヴィンスキー「火の鳥」は2台ピアノなので、二人が創り出す佐藤晴真 ©Seiichi Saito作品はその「ギャロップ」が運動会の定番になっている組曲「道化師」に違いない。1949年に完成されたチェロ協奏曲第1番もロシア民謡を取り入れるなど親しみやすい作品となっている。名手佐藤が作品の魅力を十分に引き出してくれるであろう。三浦謙司 ©Jeremy Knowles何層にもなった音色からの、絢爛たる絵巻物語を楽しみたい。 ちなみに彼らはベルリンのハンス・アイスラー音楽大学の同窓生。合わせの練習のときにはどんな話をしているのだろう。そんなことも(勝手に?)想像しながら聴くのも楽しいかも。文:山田治生文:上田弘子58高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団20世紀ロシアを代表する名作でシーズンラストを飾る 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の2022年シーズン最後の定期演奏会は、常任指揮者・高関健の登壇で、ロシア音楽プログラム。近年、高関は、サンクトペテルブルグ・フィルの定期演奏会を指揮するなど、ロシア音楽への造詣をますます深めている。  メインはショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」。この交響曲は、ナチス・ドイツに包囲されたレニングラードで書かれ、ソビエト国民の勝利の確信を描く作品である。別動隊の金管楽器も加わって壮大なクライマックスが築かれるが、戦争での勝利を歓喜する音楽ではないだろう。ロシアのウクライナ侵攻が続いている現状において、高関がショスタコーヴィチのメッセージをどう表現するか興味津々である。 演奏会前半には佐藤晴真の独奏でカバレフスキーのチェロ協奏曲第1番が取り上げられる。佐藤は、2019年のARDミュンヘン国際音楽コンクールの

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