eぶらあぼ 2023.3月号
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それでも踊るそれでも踊る者たちのために者たちのためにProfileのりこしたかお/作家・ヤサぐれ舞踊評論家。『コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER』『ダンス・バイブル』など日本で最も多くコンテンポラリー・ダンスの本を出版している。うまい酒と良いダンスのため世界を巡る。http://www.nori54.com130乗越たかお第101回 「連載100回記念とインドでの公演。生きる証としての。」 1月は本連載100回記念で見開き2ページの倍増ため、日本から鈴木竜というアーティストの存在を分ページのみならず、編集部が記念のスペース(Twitter析・分解する映像作品(映像:吉開菜央、音楽:タでのオンライン・ラジオみたいなもの)を開催してくツキアマノ)を作って送り、それをもとにヘマがソロれ、連載に書き切れなかった話などを中心にお送作品『-scape』を創った経緯がある。 そして今回、いよいよリアルでの協働創作が実現りした。リスナーは15人くらいかなと思っていたが、アーカイブを含めた累計ではこの原稿執筆時点でしたのだ。タイトルは『Interlude(間奏曲)』。二人500人を超える方々が聞いてくれている。は冒頭で左右から歩み寄り、出会い、デュオを踊る。そしてゆるく踊りながら自分の身に起こったことを 聞き手は長年オレの担当をしてくれている編集部の大塚絢子さん。苦楽をともにしてきた二人ならでは語りあう。鈴木はコロナ禍で妻と過ごす時間が増えの息の合った掛け合い、大塚さんの鋭い突っ込みにた。亡くなった祖母はコロナ陽性だったので会えないたじろぐオレ、そして不覚にも後半で涙ぐんでしまうまま今生の別れとなった。そして昨年、娘を授かった。ヘマもコロナ期間中に父親を亡くした。ヘマをことすらあるかもしれないと臨んだ放送だったが、初っぱなから音声トラブルで編集部の声が聞こえず支えたいと求婚され結婚。めでたく妊娠したが生ま(リスナーには両方聞こえる)どちらか一人しか話れてきた子は息をしていなかった。せないままお送りした伝説の回となった。クノッソス コロナ禍のなか親しい人の生と死に関わる経験を語り終えた二人は冒頭と同じデュオを踊る。しかし宮殿やコロナ感染話や泥棒に遭った話、ジャルジャルやTikTokと伝統舞踊の共通点など気楽に話させ二人とともに「旅」をしてきた観客の目には、まったてもらい、連載継続のモチベーションも爆上がりしく違って見えたのだった。た。ありがとうございます。 コロナによって変更を余儀なくされたが、コロナ禍を経なければ生まれなかった。百年に一度の厄災 さて、じつは100回掲載号が発行されたとき、オレはインドのIT都市としても名高いベンガルールにあの中、アーティストが生命を燃やして立ち向かったるコンテンポラリー・ダンスの拠点アタカラリ・セン証といえる作品だったのである。ター(Attakkalari Centre for Movement Arts)へ行っていた。 ここで鈴木竜とヘマ(ヘマバーラティ・パラーニ)がインドで創った新作公演を観に行ったのである。もとはインドの国際交流基金とアタカラリ・センターが2018年に立ち上げた日印合同企画で、オレは当初からプロジェクト・メンターとして関わっている。しかし翌年本格化したコロナ禍で渡航不可能になった

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