eぶらあぼ 2023.2月号
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第156回 定期演奏会「音の謎かけ」 2/11(土・祝)15:00 神戸文化ホール東京特別演奏会 2/13(月)19:00 紀尾井ホール問 神戸市民文化振興財団078-361-7241 https://www.kobe-ensou.jp2/8(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 日本オーケストラ連盟03-5610-7275 https://www.orchestra.or.jp73“古典”にインスピレーションを得た20世紀の作曲家たち 神戸市室内管弦楽団の第156回定期演奏会は、2021年から同楽団の音楽監督を務める鈴木秀美の指揮で開催。東京特別演奏会も同じプログラムで実施される。今回、鈴木は指揮だけでなく、自らチェロを弾いての大活躍。しかもモーツァルト、プロコフィエフ、シュニトケと、18世紀音楽に加えて、類似するコンセプトを持つ20世紀に書かれた作品を組み合わせた刺激的なプログラムだ。 モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」で、あえて鈴木はチェロを奏でて弦楽合奏に加わる。同楽団が弦楽合奏団としてその歴史が始まり、また鈴木自身が設立当初のチェロのメンバーであったというルーツが感じられて意義深い。続いて同じモーツァルトの管楽合奏曲である「ナハトムジーク」で妙技を聴かせる。この楽団は18年に管楽器セクションが加わることで現在の名称になったのだ。 後半に置かれたシュニトケ「モーツァルト・ア・ラ・ハイドン」とプロコフィエフ「古典交響曲」には共通した創作への視点がある。1977年作曲の前者が「ハイドン風モーツァルト」という意味のパロディであり、1917年完成の後者が「ハイドンが現代に生きていたら書い鈴木秀美 ©K.Miura三井 静 ©Anoush Abrar神戸市室内管弦楽団 ©SHIMOKOSHI HARUKIたであろう音楽」だ。「20世紀の彼らが昔の音楽に触発されて生み出した」と鈴木は言うが、古典作品とあわせて、時代の様式や感覚が錯綜するこれらの音楽がどのように表現されるのか興味は尽きない。袴田美帆し、ソリストとして活躍する一方、アートマネジメントの知識を活かし、音楽と社会を繋げる活動にも力を注ぐ。 一方、東京藝術大学卒業と同時に、東京都交響楽団の首席ファゴット奏者に就任し、リヨン国立高等音楽院の大学院でも腕を磨き、ソリストとしても活躍中の長。今回は、ファゴットと弦楽合長 哲也文:小味渕彦之文:笹田和人大崎由貴奏のために書かれたヴィラ=ロボス「7つの音のシランダ」を披露する。 そして、東京藝術大学を卒業後、ザルツブルク・モーツァルテウム大学修士課程を修了した大崎。国内外の登竜門での実績や、ソリストとして主要楽団との共演を重ねている彼女が、ラフマニノフの協奏曲第2番で掉尾を飾る。鈴木秀美(指揮) 神戸市室内管弦楽団明日を担う音楽家たち 〜新進芸術家海外研修制度の成果〜若き精鋭たちが研鑽の集大成となるコンチェルトを披露 将来を嘱望される若手演奏家たちが、文化庁の新進芸術家海外研修制度を通じた研鑽の成果を披露する「明日を担う音楽家たち」。今回は、三井静(チェロ)、袴田美帆(サクソフォン)、長哲也(ファゴット)、大崎由貴(ピアノ)という4人の俊英たちが、角田鋼亮指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団と共演し、瑞々しい調べを響かせる。 ハイドンの協奏曲第2番で幕開けを飾る三井は、ザルツブルク・モーツァルテウム大学やウィーン市立音楽芸術大学で学び、エンリコ・マイナルディコンクールでの優勝をはじめ、国内外の登竜門で入賞。現在は、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ奏者として活躍している。 トマジの協奏曲を吹く袴田は、神戸大学国際文化学部に在学中、パリ第7大学へ留学し、パリ地方音楽院からパリ国立高等音楽院でサクソフォンも学んだ特異な経歴。ナント国際コンクールを制

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