eぶらあぼ 2023.2月号
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2/5(日)14:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 キーノート0422-44-1165 https://www.ensemble-nomad.com2/4(土)14:00 府中の森芸術劇場 どりーむホール問 チケットふちゅう042-333-9999 http://www.fuchu-cpf.or.jp/theater/も著名だが、「ノマドの時代」の多彩でヴィヴィッドな音楽に期待したい。 新鋭作曲家たちの活動も後押ししてきたアンサンブル・ノマド。今回は、70井上道義 ©Yuriko Takagi曲は異なるが、今回もスリリングな演奏になることは必至だ。 バレエ音楽「シンデレラ」について井上は「プロコフィエフの最大傑作と思える。交響曲より音楽に無理がない」と言う。プロコフィエフは、17世紀フランスの童話作家シャルル・ペローの服部百音 ©YUJI INAGAKI原作に抒情的で旋律美にあふれた音楽とともに、独特の奇抜な楽想も加えた。シンデレラと王子が結ばれるおとぎ話の順番に沿ってプログラムされた井上自身によるセレクションを、若き日にバレエ・ダンサーを目指した井上が鮮やかに聴かせることだろう。文:長谷川京介文:伊藤制子©Maki Takagi2021年に武満徹作曲賞を受賞し、今注目の根岸宏輔による「うす明かりの中に」(2022)の世界初演を予定している。どりーむコンサート Vol.124 悲運が生んだ奇跡 プロコフィエフ名曲選情熱マエストロと若き天才が織りなすロシア音楽2大傑作 コンサートのサブタイトル「悲運が生んだ奇跡」は、二つの世界大戦やロシア革命、世界恐慌などさまざまな悲運に振り回されながらも、数々の名曲を生み出したプロコフィエフを表す。ヴァイオリン協奏曲第1番の完成直後、1917年にロシアで十月革命が起こり、翌年プロコフィエフは日本を経由してアメリカに行き、1933年まで戻らなかった。作品は古典性と現代的傾向のバランスが完璧で、抒情性も豊かな彼の特長がすべて網羅された傑作。服部百音が弾くプロコフィエフは、2年前にヴァイオリン・ソナタ第1番を聴いたが、エネルギッシュな高揚感と繊細な美しさが両立して見事だった。その卓越した表現力は協奏曲でも発揮されるに違いない。井上道義は、服部が「いつもの100倍ぐらいの濃度で頭からのめり込むことができた」と語る最強の共演者。その時のショスタコーヴィチ作曲ヴァイオリン協奏曲第1番の凄絶な演奏は今も記憶に新しい。アンサンブル・ノマド 結成25周年記念第77回定期演奏会 “委嘱・献呈作品集” vol.3:ノマドの時代社会を映し出す音楽のゆくえに耳を傾けて 佐藤紀雄率いるアンサンブル・ノマドの進化は止まらない。2022年で結成25周年となったこの精鋭アンサンブルは、腕利きの奏者たち自身が演奏したいと思う曲を厳選し、ひとひねりある妙技をくり広げてきた。 第77回定期である2月5日のテーマは「ノマドの時代」。世界初演される西村朗の「ロプノール(彷徨える湖)-10奏者のための」(2022)、近藤譲の「合歓」(2020)といった実力派邦人作品に加え、アルゼンチンのアレハンドロ・ビニャオ、スペインのベネト・カサブランカスの作品他で構成されている。「ノマドの時代」とは、ビニャオ作品のタイトルで、このアンサンブルへの賛辞と不安定な現代社会を照射する意味が込められているという。ビニャオは打楽器奏者として

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