eぶらあぼ 2023.2月号
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2/22(水)19:00 王子ホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp問 愛知室内オーケストラ事務局052-211-9895 https://www.ac-orchestra.com※各プログラム、年間会員券、チケット発売情報などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。69 愛知室内オーケストラ(ACO)は発足20周年に当たった2022/23シーズンから定期演奏会をAとBの2シリーズに分け、それぞれ11回公演する体制を整えるとともに、山下一史を初代音楽監督に迎えた。 2023/24シーズンも山下が両シリーズ各4回(計8回)を指揮、大きな存在感を示す。プログラミングはシューマン、シューベルト、ベートーヴェン、マーラー、ハイドン、モーツァルト、メンデルスゾーンとドイツ=オーストリア音楽の王道が基本で、アンサンブルの基礎トレーニングも同時に進める意図が鮮明だ。ベルリン・フィル首席のルートヴィヒ・クヴァントをドヴォルザーク「チェロ協奏曲」のソロに迎える第67回(B定期 12/1)はバルトーク、ルトスワフスキを組み合わせた東欧特集、協奏曲がメインの回にはスイスのマルタン、イタリアのロータなども手がけるほか、権代敦彦らへの委嘱新作の世界初演にも取り左より:山下一史 ©ai ueda/権代敦彦 ©MICHIHARU OKUBO/クリスティアン・アルミンク ©Shumpei Ohsugi/鈴木優人 ©Marco Borggreve/川本嘉子 ©島崎陽子/アンドレアス・オッテンザマー活動を展開する一方、後進の指導にも力を注ぐ安田。「楽譜という砂の中に隠れている色々な謎、想いを見つけ出し、暗号を解きほぐしてゆく過程が大好き」だという。 今回のリサイタルでは、まず、バルトーク「ソナチネ」「ルーマニア民族舞曲」と、リストの「巡礼の年第2年『イタリア』」から「3つのペトラルカのソネット」(第47、104、123番)、ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」を披露。そして、シューマン「クライスレリアーナ」で締め括る。組むなど、多彩なメニューでACOとの絆を深めていく。 A定期では指揮にクリスティアン・アルミンク、ピアノにフランク・ブラレイを迎える第57回(6/4)、鈴木秀美がハイドンの交響曲2曲(第26番「ラメンタチオーネ」、第60番「うかつ者」)とシューベルト「交響曲第1番」を指揮する第64回(10/6)、2015~2020年に初代常任指揮者を務めた新田ユリが得意のシベリウス(交響曲第7番ほか)を特集する第68回(12/15)などが注目。B定期ではウィーン・フィルの首席ファゴット、ソフィー・デルヴォーがフランスのジョリヴェ「ファゴット協奏曲」、フィンランドのアホ「コントラファゴット協奏曲」を吹き分ける第56回(5/26)、独ドルトムント歌劇場音楽総監督代理の実力派カペルマイスター小林資典との共演で客演コンサートマスターの常連、石上真由子がベルクの協奏曲を独奏する第59回(7/1)、前回のモーツァルト&ハイドンから一転、リゲティとフォーレで臨む鈴木優人(指揮)&福川伸陽(ホルン)コンビの第65回(11/16)、ACOの弦楽器アドヴァイザーを務める川本嘉子(ヴィオラ)が大植英次の指揮でヒンデミットの「白鳥を焼く男」を独奏する第70回(2024.2/2)、ベルリン・フィル首席クラリネットのアンドレアス・オッテンザマーが指揮者として再登場する第71回(2/16)などが面白そうだ。 定期公演に使ってきた名古屋市の三井住友海上しらかわホールは24年2月29日の閉館が決まっており、ACOは2月28日の山下指揮A定期(第72回)、権代の委嘱新作とモーツァルト最後の交響曲2曲(第40番&第41番「ジュピター」)で掉尾を飾る。文:笹田和人文:池田卓夫安田里沙 ピアノリサイタル得意のバルトーク&リスト、シューマンの作品に込める想い 安田里沙は、ソリストとして数々の一線オーケストラと共演する一方、国際コンクールで公式ピアニストとして伴奏を務め、室内楽のステージでも活躍する実力派ピアニスト。2月に東京で開くリサイタルで、幅広いレパートリーの中でも、特に得意とするバルトークとリスト、シューマンの佳品を取り上げる。 東京藝大・同大学院に学び、大学院在学中には、ハンガリー国立リスト音楽院に留学。ウィーン国際ピアニストコンクールで2位を果たすなど、国内外の登竜門で実績を重ね、精力的に演奏愛知室内オーケストラ 2023年度ラインナップの聴きどころ山下一史音楽監督との絆を深める2シーズン目に期待

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