eぶらあぼ 2023.2月号
69/153

C × Organ オルガン・コンサート・シリーズオルガン avec バロック・アンサンブル2/11(土・祝)15:00 神奈川県民ホール(小)問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/66Interview中田恵子(オルガン)オルガンとバロック・アンサンブルの新鮮な出会い 神奈川県民ホールの小ホールでコンサートを体験された方はご存知のように、433席の小さめのホール舞台正面にはパイプオルガンが設置されている。1975年のホール開館時にドイツのクライス社製のオルガンが舞台右側に置かれたが、1990年に舞台正面に移され、長く使われてきた。2021年に神奈川県民ホールのオルガン・アドバイザーに就任したオルガニストの中田恵子が、新しく「オルガン avec」シリーズをスタートさせることになった。その記念すべき第1回の公演はバロック・アンサンブルとの共演である。 「パイプオルガンというと大ホールに設置されているものがほとんどで、神奈川県民ホールの小ホールのように比較的小さな空間にパイプオルガンがあるというのはとても珍しいことです。この空間を使って、オルガンの個性を活かしたコンサートをできないかなと考えた時に思いついたのが、今回の企画でした」  と中田は語る。長岡聡季、大光嘉理人(以上ヴァイオリン)、吉田篤(ヴィオラ)、エマニュエル・ジラール(チェロ&ヴィオラ・ダ・ガンバ)、西澤誠治(コントラバス)という5人のピリオド弦楽器奏者を迎え、ヘンデルのオルガン協奏曲第4番をはじめ、J.S.バッハのチェンバロ協奏曲第4番、ヴィオラ・ダ・ガンバ・全編を紡ぎ、ピンカートン役のテノールにはお馴染み宮里直樹を起用し、スズキ役のメゾソプラノに、藤原歌劇団の逸材で新国立劇場でも同役にて好評を得た但馬由香を揃えるなど、鉄板の布陣。看板アリアの〈ある晴れた日に〉を筆頭に“愛の二重唱”から壮絶なクライマックスまで、聴きどころを字幕付きで楽しめるので、幅広い客層で盛り上がりをみせるはず!4/2(日)15:00 王子ホール問 新演コンサート03-6384-2498http://www.shin-en.jpソナタ第1番、ヴァイオリン・ソナタ ホ短調、そしてモーツァルトの教会ソナタなどを含んだ魅力的なプログラムを披露する。 「バッハの時代には、教会のパイプオルガンを演奏するバルコニーにオルガン奏者と弦楽器奏者が集まって室内楽的な作品を演奏していたようで、そうした雰囲気を小ホールの親しみやすい空間で味わっていただけたらと思って、プログラムを考えました。ヘンデルのオルガン協奏曲は以前から演奏してみたい作品でしたし、オルガンの独奏曲もあり、弦楽器とオルガンの様々な組み合わせもありで、編成の違いによる音の多彩さも楽しんでいただきたいです」 パイプオルガンというのは製作者によっても個性がかなり違う楽器。この小ホールはクライス社製だが、その特徴を中田はこう表現する。 「ちょっと武骨だけれど、シャイなところもある人、のようなイメージがあります。もちろん弾く方によってもイメージが変わってくると思いますが。この小ホールは舞台正面、間口いっぱいに楽器が置かれているので、より身近にオルガンの音を楽しめると思います」 新しいシリーズに注目しよう。©FUKAYA Yoshinobu/auraY2取材・文:片桐卓也©Taira Tairadate文:東端哲也蝶々夫人 垣岡敦子 AMORE 〜愛の歌 VOL.8一途な愛を描いた名作を盤石のキャストで イタリアで研鑽を積み、オペラ出演やコンサート活動で華やかにキャリアを重ねてきた艶やかなソプラノ、垣岡敦子。2012年より「愛の歌」をテーマに続けてきたリサイタル・シリーズも今回で8回目を迎える。 第6回で日本では上演機会の少ないマスネの傑作オペラ《マノン》を特集して手応えを掴んだ彼女は、昨年の第7回でプッチーニの《トスカ》ハイライト版をとりあげて成功を収め、今年は待望の《蝶々夫人》ハイライト版に挑戦する。同シリーズの好パートナーで音楽監督でもある村上尊志のピアノ演奏で

元のページ  ../index.html#69

このブックを見る