eぶらあぼ 2023.2月号
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2/11(土・祝)~2/23(木・祝)北九州、熊本、大分、宮崎、鹿児島、福岡、大牟田、長崎、唐津、佐賀※公演の詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 https://japanphil.or.jp2/25(土)15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp第48回九州公演 日本フィル in KYUSHU 2023市民とともに創る共同プロジェクトに豪華ソリストと臨む 2月11日から23日にかけて、今年も日本フィルの九州公演が開催される。北九州、熊本、大分、宮崎、鹿児島、福岡、大牟田、長崎、唐津、佐賀をめぐる計10公演の大ツアーだ。指揮はすべてフレンド・オブ・JPO(芸術顧問)の広上淳一が担う。ソリストには公演によりチェロの佐藤晴真、ピアノの小林愛実、ギターの山口修のいずれかが招かれる。 1975年に始まった日本フィルの九州公演は、他に例を見ない市民とオーケストラによる共同プロジェクトという形で成り立っている。それぞれの地域で市民の自主的な参加により実行委員会が組まれ、約半世紀もの長きにわたって継続的に公演が開催されてきた。まさに「市民とともに歩む」日本フィルらしい活動であり、地域の音楽文化に対して大きな貢献を果たしてきたといえるだろう。2021年こそコロナ禍により中止となったものの、22年、23年とふたたび九州公演が続いていることを心64Music Program TOKYO シャイニング・シリーズ Vol.12北村朋幹 ピアノ・リサイタル真実や自分自身と向き合うための「夜の音楽」 森に出でて、夢うつつ――。たしか楽」が満ちる。ホリガーが1960年代にまとめた「エリス」もトラーに思えることと、捉え難いものが、混ざクルの詩と歩む3つの夜の曲。り合うようにある。いつか来たはずのノーノが1976年にピアノとテー道がまた新しく輝く。暗闇のなかで、プのために作曲した「…..苦悩に光を感じつつ、一歩一歩を確かめる道満ちながらも晴朗な波…」が、何行き。つよく求めればこそ、ひらかれ処からか美しく寄せてくる。てくるものがある。そうして、ときに音 19世紀半ばのドイツ・ロマン主楽は微笑む。義から、2つの世界大戦後、20世 北村朋幹のピアノ・リサイタルでは、紀後半の思索や詩作を、深く大多彩な曲が互いに呼び交わし、それぞきな夜が浸す。歳月の隔たりも、れのありようを照らし出していく。プ音楽と言葉の境も定かではなログラムを旅することは、さまざまない。北村朋幹のピアノが、その時間と思考、理念と心情を編み合わせあわいに触れる。個々の芸術家ることだ。作品はかつて書かれたようの孤独な創造が自在に呼び交わにあり、しかしまだ生まれてはいない。す。鳴り響く時間のなかで、作ピアノがあり、弾き手があり、聴き手が品は固有の意味を見定め、そのある。だが、ともに響き出すのは、出意味を解き放つ。そして、昼は会いのいま、このときだ。夜に、あるいは、夜は昼に――。 シューマンの後期作「森の情景」と最晩年の絶景「暁の歌」が環を結び、シンメトリーの中心ではバルトーク1926年の「戸外にて」が奏でられる。「夜の音強く感じる人は多いはずだ。 メイン・プログラムとなるのは、チャイコフスキーの交響曲第4番、またはベートーヴェンの交響曲第7番。いずれも熱くドラマティックな作品だ。ソリスト陣は佐藤晴真がチャイコフスキー広上淳一 ©Masaaki Tomitori佐藤晴真 ©Tomoko Hidaki小林愛実 ©Makoto Nakagawaの「ロココの主題による変奏曲」を、小林愛実がショパンのピアノ協奏曲第1番または第2番を、山口修がロドリーゴの「アランフェス協奏曲」を演奏する。名手たちの華麗なソロも大きな話題を呼ぶだろう。©TAKA MAYUMI文:飯尾洋一文:青澤隆明

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