eぶらあぼ 2023.2月号
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第647回 定期演奏会〈トリフォニーホール・シリーズ〉 3/4(土)14:00 すみだトリフォニーホール〈サントリーホール・シリーズ〉 3/6(月)19:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp3/18(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net56クァルテット・ウィークエンド 2022-2023クァルテット・エクセルシオ × チェルカトーレ弦楽四重奏団“日本代表”と次世代を担う気鋭が注目の共演 室内楽ファンが注目する第一生命ホールの「クァルテット・ウィークエンド」。当シリーズに2001年のホールオープン時から毎年出演しているのが、日本を代表する弦楽四重奏団=クァルテット・エクセルシオだ。彼らは、18年度から若手団体を紹介し、八重奏で共演するシリーズを開始。今年はチェルカトーレ弦楽四重奏団が登場する。 1994年創設のQエクセルシオは、年間60公演以上を行う、日本では数少ない常設の弦楽四重奏団。2016年にはサントリーホール主催による2週間でのベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏を日本人団体として初めて果たすなど、その名を不動のものとしている。チェルカトーレQ(ヴァイオリン:関朋岳、戸澤采紀、ヴィオラ:中村詩子、チェロ:牟田口遥香)は、17年の結成。「探求者」の名を冠した彼らは、ルーマニア国際音楽コンクール第2位(最高位)ほか複数の賞を受賞し、各地の様々なコ的な愛と死の戯曲を基にしている。 このコンサートには大きな期待を寄せたい。指揮は2013年9月から15年8月まで、新日本フィルのコンダクター・イン・レジデンスを務めたインゴ・メッツマッハー。現代音楽のスペシャリストで、その刺激と楽しさ、知性や魂に訴えるエネルギーを聴衆に伝えることを使命としている。ベルクのソリストは引く手あまたのヴァイオリニスト、クリスティアン・ンサートに出演している。 今回は、最初にQエクセルシオがモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番「春」、次にチェルカトーレQがブラームスの同第1番を披露。明朗で精緻かつ瑞々しい「春」を緻密さと滋味を併せ持つ達人たち、劇的で重層的なブラームスをフレッシュな俊英たちが演奏するので、質インゴ・メッツマッハー ©Felix Broedeクァルテット・エクセルシオクリスティアン・テツラフ ©Giorgia Bertazziテツラフ。繊細さと強靭さを兼ね備え、クリスタルな美しい音色と鋭い切れ味が特長。望みうる最強の共演となるだろう。チェルカトーレ弦楽四重奏団感の違いが興味深い。後半はブルッフの弦楽八重奏曲(遺作)。1920年の作とは思えぬほど重厚でロマン派のテイストが濃い同曲は、生演奏自体が貴重だし、完成から100年を経た今なら作品の見直しに繋がる可能性も十分。ベテランと気鋭が相まみえる本公演は、あらゆる点で興趣と刺激に富んでいる。文:長谷川京介文:柴田克彦インゴ・メッツマッハー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団無調前夜の精緻な管弦楽書法と濃密な響きをたどって 新日本フィル3月定期のプログラムはウェーベルン、シェーンベルク、ベルクと新ウィーン楽派の作曲家が並ぶが、彼らが無調に入る前の後期ロマン派的な響きや官能性を持つ作品で、難解ではという心配は無用。 ウェーベルン「パッサカリア」は、作品1とある通り処女作で、取り上げられることも多く、理解されやすい作品。ベルク「ヴァイオリン協奏曲」は演奏機会も多いポピュラーな協奏曲。アルマ・マーラーと建築家グロピウスの娘で、ベルクが可愛がっていたマノンの18歳の死に際し作曲、『ある天使の思い出に』と追悼の副題を付けた。ベルクが書いた他のどの曲とも違う、胸が張り裂けんばかりの感情的なパワーを持っている。 交響詩「ペレアスとメリザンド」は、シェーンベルクがマーラーやシュトラウスの書法に影響され書いた後期ロマン派風の大編成の作品で、約45分の大作。ドビュッシーのオペラやフォーレの劇付随音楽にもなったメーテルリンクの幻想

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