eぶらあぼ 2023.2月号
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第625回 定期演奏会 2/22(水)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp3/29(水)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900 http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/4848目。さらに深読みすれば、16番までを数える彼の弦楽四重奏曲のうち、短調をとる楽曲は5曲のみ(4・8・11・14・15)。意外と数多くはない彼の短調作品に集中して取り組む、特別な意欲が伝わるプログラムなのである。ことに作曲家が辿り着いた融通無碍というべき境地アンナ・ラキティナ ©Robert Torresンで、濃い口で官能性豊かに歌うカプソンが、若き指揮者が振る読響といかなる化学反応をみせてくれるか。 そして、チャイコフスキーの交響曲第1番。「冬の日の幻想」というタイトルをもち、作曲者最初の交響曲ならでルノー・カプソン ©Simon Fowler Eratoはのバイタリティに満ちた作品だ。この曲の特色でもある旋律美をラキティナは、繊細に、そして広がりをもって歌わせるのではないか。意欲的なプログラムでデビューする若き指揮者の手腕に期待したい。左より:前橋汀子、久保田 巧、原田禎夫、川本嘉子の音楽で構成された14番は、四重奏団のすべてが要求される究極的な作品。「前橋汀子カルテット」ならそれにふさわしい奏者がそろっているし、活動60年を超える巨匠・前橋が奏でる14番の世界はまさに類のないものとなる。彼らの円熟と覚悟をしっかり味わいたい。文:鈴木淳史文:林 昌英アンナ・ラキティナ(指揮) 読売日本交響楽団欧米で注目浴びる若き指揮者が日本デビュー 期待の新星が日本デビューを飾る。初登場となる指揮者、アンナ・ラキティナは、ウクライナ人の父とロシア人の母の間にモスクワで生まれた33歳。2018年、ニコライ・マルコ国際指揮者コンクール第2位に入賞して注目を浴びた。現在は、ネルソンス率いるボストン交響楽団で副指揮者を務めている。 彼女がプログラムの最初に取り上げるのは、エレナ・ランガーによる歌劇《フィガロの離婚》組曲だ。今回が日本初演になる。この組曲のもとになった歌劇は、モーツァルトのオペラの続編として書かれ、ウェールズ・ナショナル・オペラで2016年に初演後、ヨーロッパ中で再演されている話題作だ。ロシア生まれで英国で活躍するランガーは、歌劇作曲家として人気沸騰中。喜劇や川端康成を原作とした作品も手がけている。 続いて、ルノー・カプソンを迎えてのベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」。当世一のテクニシャ前橋汀子カルテットレジェンドたちが奏でる至高のベートーヴェン 昨年演奏活動60周年を迎え、日本を代表するヴァイオリニストとしては前人未到の長期にわたり、トップを走ってきた前橋汀子。記念CDのベートーヴェンの協奏曲は充実しきった演奏で、決めどころのキレと表現の強さは凄まじいものだった。その前橋が近年、活動の柱としているのが弦楽四重奏。ソナタや協奏曲に留まらず、ベートーヴェンの真髄をさらに追究するべく、「前橋汀子カルテット」を結成したのである。メンバーは第2ヴァイオリン久保田巧、ヴィオラ川本嘉子、チェロ原田禎夫。元東京クヮルテットの原田をはじめ、室内楽を知悉した最高の名人が並ぶ。最先端で活躍してきたアーティストが集ったことで、結成から最高水準の演奏を実現して賞賛を集めている。 高崎芸術劇場公演で聴かせるのはもちろんオール・ベートーヴェンで、4番、11番「セリオーソ」、14番の3曲。初期・中期・後期から1曲ずつで聴きやすい演

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