eぶらあぼ 2023.2月号
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第708回 定期演奏会 3/18(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp“LVFコレクション”よろしく次々と生まれる委嘱作品のひとつだ。 余談ながら、去る12月にLVFがベルリンで公演を行ったのが、ちょうどFIFAワールドカップの真っ最中。その楽屋にメッシのTシャツを着て訪れたのが誰あろう、バレンボイム。アルゼンチン生まれの彼と、パユやルルーやメイエやオダンやル・サージュがどんな顔で挨拶を交わしたのだろう。そしてその脇にいたホルンのヴラトコヴィチはクロアチアの出身である。3/6(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp他公演 3/4(土) 豊田市コンサートホール(0565-35-8200)    3/5(日) 千葉県文化会館(043-222-0201)    3/7(火) 文京シビックホール(03-5803-1111)    3/9(木) 大阪/箕面市立メイプルホール(072-721-2123)    3/11(土) 神奈川県立音楽堂(チケットかながわ0570-015-415)    3/12(日) 三鷹市芸術文化センター 風のホール(0422-47-5122)47 続くベートーヴェンの交響曲第1番とメンデルスゾーンの弦楽のための交響曲第8番はそれぞれの初期の名作と言える作品だが、並べて演奏されることは少ない。神童ともてはやされた時代のメンデルスゾーンの作品には、本当に才能の開花が感じられるし、ベートーヴェンが20代の終わりに到達した交響的世界は、それまでの常識を打ち破る覇気に満ちている。前回はバロック音楽プロで共演した東響とともに、佐藤のリー音楽のワールドカップで得点王を争えるメンバーの揃ったLVFに、これほど似つかわしい光景もないと思えてきませんか?佐藤俊介 ©Marco Borggreveドによって、私たちは一歩先に進んだ世界を体験することが出来るだろう。©Warner Classics文:片桐卓也文:木幡一誠レ・ヴァン・フランセ 至福のアンサンブルによる最高の音楽の贈り物全員が超一流、比類なきサウンドがこの春ふたたび レ・ヴァン・フランセ(LVF)がまたやってくる。初来日が2002年だから、我が国との縁もすでに20年以上。木管楽器とホルンとピアノのドリーム・チームが、これだけ息の長い活動をしているのも夢のような話だ。 フランスの風(=管楽器)を団体名に掲げるが、そのアイデンティティを一身に担うのはオダンが手にするバソン。“フランス式ファゴット”がすっかりポピュラーな存在になったのもLVFの功績だが、そのアンサンブル自体はワールド・スタンダードを地でいく。欧州における室内楽演奏の最先端に触れる機会ともなるステージは、彼らにふさわしく独仏混成のプログラム。ピアノと管楽器の六重奏曲として、両国を代表するレパートリーのテュイレとプーランク。グループの部分集合によって多種多様な編成がこなせるLVFの魅力を堪能できるライネッケとミヨー。そしてフランスの奇才タンギーの新作。佐藤俊介(指揮/ヴァイオリン) 東京交響楽団ロマン派黎明期を彩る名協奏曲を弾き振りで 作曲家の生きた時代の奏法を深く追究し、それを活かした演奏を聴かせてくれるヴァイオリニストの佐藤俊介が、再び東京交響楽団の定期演奏会に登場する(3/18 サントリーホール)。コンチェルト・ケルンのコンサートマスター、オランダバッハ協会の音楽監督など、ヨーロッパでも高い評価を得ている佐藤が、今回は古典派からロマン派初期にかけての名作を取り上げる。 まず注目されるのが、ベートーヴェンと同時代に生きたヴァイオリニスト&作曲家であるルイ・シュポアのヴァイオリン協奏曲第8番だろう。「劇唱の形式で」というサブタイトルは、この協奏曲の第1楽章がレチタティーヴォと指定されているからで、その後に続く2つの楽章もまるでオペラ・アリアのような華麗さを持つ。佐藤の弾き振りによる演奏は、19世紀はじめのオペラについても私たちの想像をかき立ててくれるはず。

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