71Interview塚越慎■■■子(マリンバ)節目の年にリリースする音楽への愛を込めた記念アルバム デビュー15周年という節目を迎え、マリンバ奏者の塚越慎子が新譜『カンタービレ』を発表した。 「マリンバは『打つ』ことで音の出る楽器ですが、私はずっと『歌うこと』=カンタービレを大切に演奏し続けてきました。その可能性と魅力を感じていただきたく、歌心をアルバムのコンセプトとしました」 選曲はバラエティに富む。ピアソラやコセンティーノといったアルゼンチン作曲家の作品のほか、親交の深い日本の作曲家による作品も収めている。 「長年の友人・挾間美帆さんの『マリンバのための小狂詩曲』は、私が海外で演奏する機会が増えてきたこともあり、日本にちなんだ作品をとお願いしたところ、宮城道雄の『春の海』を取り入れて書いてくれました。とても緻密に計算され、複雑なコードをもつ音楽で、マリンバの新しい可能性を押し広げてくれました。作・編曲家、ピアニストとしてもご活躍の山中惇史さんには、ベートーヴェンの『悲愴』第2楽章、ヘンデルの『オンブラ・マイ・フ』、武満徹の『小さな空』、ラフマニノフの『前奏曲』op.23-4のアレンジを書き下ろしていただきました。ラフマニノフはずっと憧れ続けてきた作曲家で、いつかマリンバで演奏したいという念願が叶いました! 『オンブラ・マイ・フ』や『小実のプログラムと演奏で話題を呼んでいるが、彼らの活動の核はベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲ツィクルスシリーズ。2023年1月、早速その第2回が東京オペラシティ リサイタルホールで行われる。プログラムはベートーヴェン初期の快活で華やかな様式があらわれた第3番から第5番。ドイツ語圏で学んだ彼らにとって大切な楽曲たちを、みずみずしい解釈と華麗な技巧でどのように奏でるか期待が高まる。1/16(月)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 ムジカシルヴァ musicasilva04@gmail.com https://www.musicasilva.comさな空』は空間的な広がりがあり、長いフレーズをトレモロに頼らずに“歌う”ことが求められたアレンジです。マリンバの奏法を試行錯誤する機会をいただいて、とても幸せでした」 沼尻竜典が混声合唱用にアレンジした武満の「MI・YO・TA」も、内省的なエネルギーに満ちた細川俊夫作品「想起」も、美しい響きと余韻に包まれる演奏で、多くのリスナーにとってはマリンバの新しい響きを知るきっかけとなるに違いない。 「12歳でマリンバと出会ってから迷いながらも前へ進み、自分を追い込みすぎて音楽を楽しめなくなってしまった時期もありました。でも、そんな時に私を救ってくれたのもまた音楽でした。J.S.バッハの『マタイ受難曲』の有名なコラールは、私を励ましてくれた一曲です。アルバムの最後はその曲で締めくくりました。今後も地道な活動を続けて、マリンバの可能性と魅力を皆様に知っていただけるように進んでいきたいです」 ひたむきに、柔軟に、エネルギッシュデビュー15周年 塚越慎子 マリンバ・リサイタル12/25(日)14:00 浜離宮朝日ホール問 AMATI 03-3560-3010https://www.amati-tokyo.comSACD『カンタービレ』オクタヴィア・レコードOVCC-00168¥3520(税込)に。そんな塚越の「歌」が詰まった完成度の高い一枚を、ぜひじっくりとお聴きいただきたい。本アルバムの収録曲がプログラミングされた12月25日のデビュー15周年記念リサイタルにも期待が膨らむ。左より:鈴木皓矢、廣瀬心香、石田紗樹、森岡 聡取材・文:飯田有抄Eureka Quartet エウレカ カルテット ベートーヴェン・ツィクルス Vol.2俊英たちのエネルギーが共鳴する、みずみずしいカルテットの音世界文:長井進之介 ドイツやオーストリアで研鑽を積み、現在はソリストやオーケストラ団員として活躍する森岡聡、廣瀬心香(以上ヴァイオリン)、石田紗樹(ヴィオラ)、鈴木皓矢(チェロ)というメンバーが集い、2022年に結成された「エウレカ カルテット」。“エウレカ”とはギリシャ語で「見つけた!」や「わかったぞ!」の意を持つ感嘆詞。4人のメンバーと聴衆との間に生まれる共鳴にインスピレーションを得て生まれた名前だ。ゲストを迎えての五重奏や六重奏といった多彩な弦楽アンサンブルのコンサートシリーズ「Eureka Quartet + Plus」が充
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