eぶらあぼ 2023.1月号
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第707回 定期演奏会 2/19(日)14:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp2/26(日)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net55十郎が再び相まみえる。新作も含めた意欲的なプログラムであり、またそれぞれに工夫が凝らされている点も魅力的だ。特に「BUNRAKU」は義太夫節の旋律を彷彿とさせる黛の代表的作品でもあり、海外のチェリストも取り上げているが、文楽界を代表する人間国宝・勘十郎の遣う人形と実際に共演原田慶太楼 ©Shin Yamagishiめて委嘱した「Kaleidoscope of Tokyo」が今回世界初演される。彼女は同時代の東京をどう表現するのだろうか。 そしてメインには菅野祐悟の「交響曲第2番“Alles ist Architektur” ­すべては建築である」。菅野といえばテレビや映画の劇伴でおなじみだが、近年は本格的な交響作品も精力的に発表している。宮田 大アレクサンダー・ガヴリリュク ©Mika Bovan本作も2019年に初演されて大きな反響を呼んだ。菅野こそ、時代の空気を作品へと結実させる代表者と言えよう。 この二作の間で、パワフルなピアニズムで聴衆を魅了してきたアレクサンダー・ガヴリリュクがグリーグのピアノ協奏曲を弾く。新しい作品に挟まれて、古典的名曲がどう聴こえてくるのだろうか。桐竹勘十郎文:江藤光紀文:片桐卓也LEOするというのは、なかなかお目にかかれない。この機会を逃さないようにしたい。 この公演に合わせて、音楽学者の徳丸吉彦による関連講座(1/14)も開催されるので、日本の音楽と海外の音楽の接点について興味のある方はぜひ参加してみてはいかがだろう。原田慶太楼(指揮) 東京交響楽団若きマエストロが届ける現代邦人作品の魅力 近年、中堅・若手指揮者たちを中心に邦人管弦楽曲演奏の新しい波が起こっている。 21世紀に入ろうとする頃から在京オケのシェフに外国人指揮者が就くようになったが、邦人作品にとっては受難の時代となった。彼らは日本の作曲界の歴史や現状には疎かったからだ。しかし私たちは日本人。西洋の名曲だけでなく、同じ国・時代の空気を吸う作曲家たちがどんな音楽を紡ぐのかにも興味がある。在京オケにポストを持つ中堅・若手クラスの指揮者たちは、そうしたニーズを掬いあげようとしているようだ。しかも、そこで取り上げられる新作・近作は旋律も調性もあったりする。 2021年、東京交響楽団の正指揮者に就任した原田慶太楼も、その一人。原田が就任直後に行ったのは、子どもたちからメロディーを募集し、それを素材に若手作曲家が新曲を作るという企画。そこで選ばれた新進・小田実結子に、改宮田 大 Dai-versity 第1回 文楽多様な活動を展開するチェリストの新シリーズ始動! 日本を代表するチェリスト・宮田大が第一生命ホール(東京・晴海)で新しいシリーズを始める。題して「宮田大 Dai-versity(ダイバーシティ)」である。いわゆるクラシック音楽のメインストリームの作品だけでなく、ギタリスト・大萩康司との共演や人形劇俳優・平常の公演への参加など、これまでも様々な作品の演奏を展開してきた宮田だが、この第一生命ホールの新シリーズでは、さらに新しい、そして多彩な宮田の顔が見られることになるだろう。 その第1回は「文楽」と題され、文楽人形遣いの桐竹勘十郎、箏のLEOと共演する。演奏曲目は、宮田とLEOによる宮城道雄「春の海」、吉松隆「双魚譜」、そして今野玲央(LEO)のチェロと箏のための新曲。さらにコダーイの無伴奏チェロ・ソナタが加わり、戦後日本を代表する作曲家である黛敏郎の無伴奏チェロのための「BUNRAKU」では以前から共演を重ねている宮田と勘

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