eぶらあぼ 2023.1月号
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54Interview周防亮介(ヴァイオリン)サントリーホールを舞台に挑む、注目の無伴奏リサイタル ヴィエニャフスキ国際ほか数々のコンクールで好成績を残し、協奏曲やリサイタルで着実に実績を積んできたヴァイオリニスト・周防亮介が、1月に無伴奏リサイタルを行う。会場はなんとサントリーホールの大ホール。演目はバッハの無伴奏パルティータ第2番とパガニーニの「24の奇想曲」全曲だ。 「ヴァイオリンを始めて20年、デビューして15年の節目の年に、こうした大きな舞台で弾かせていただけるのは光栄です。無伴奏プログラムにしたのは、21年夏にトッパンホールで『24の奇想曲』全曲等を演奏し、その後『無伴奏超絶技巧曲集』と『24の奇想曲』のCD録音を行うなど、最近弾く機会が増えていたから。なかでも『24の奇想曲』は、パワーのある若い時にこそ伝えられる作品であり、トッパンでの演奏後もまたいつかやりたいと思っていましたので、今回ぜひ入れようと。バッハのパルティータ第2番は、高校2年の時に日本音楽コンクールで(課題曲として)弾いた思い出の曲。荘厳な雰囲気がありますし、自分があの大きな舞台で弾いている姿を想像した時に、やってみたいと思いました」 「24の奇想曲」は「あらゆる技巧が詰め込まれた」難曲だ。 「技術面にフォーカスされがちです 今回は、チャイコフスキー「アンダンテ・カンタービレ」など、サクソフォンの美音と歌心が存分に発揮されるクラシック音楽から、「ゴッドファーザー“愛のテーマ”」ほかのスクリーン・ミュージック、「銀河鉄道999」など日本のポップスまで、様々なジャンルからの名旋律を集めて。もちろん、「情熱大陸」「ティコ・1/21(土)15:00 文京シビックホール(小)問 シビックチケット03-5803-1111 https://www.b-academy.jp/hall/が、イタリア・オペラのアリアのような歌心が隠れている。私はそこを意識して、歌うように、軽やかに弾くよう心がけています。また24曲各々で異なるキャラクターを弾き分けるのも、演奏するごとに生まれる新たなアイディアを取り入れるのも面白いですね」 今回は、全曲を通しで弾く点と、大ホールである点もポイントとなる。 「曲集全体の流れがあると考えていますので、その点や曲の間合いを大事にしたい。また、大ホールだから大きな音で弾くのではなく、弱音の美しさを追求していきたいと思っています」 ちなみに24曲の中で特に好きなのは「色々な表情がある第11番や第22番」とのこと。この点にも注目して聴いてみたい。 バッハのパルティータ第2番も、通常ならメインにもなる名作だ。 「大きな音楽に立ち向かうエネルギーが求められますが、作品自体には人間味が溢れていて、喜びや躍動感、嘆きや悲しみなど様々な感情が込められています。私はそうした色々な気持ちを表現したいですね」 各楽団と多様な協奏曲を演奏しなが周防亮介 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル 1/29(日)14:00 サントリーホール問 サンライズプロモーション東京0570-00-3337 http://miy-com.co.jp須川展也シエナ・サックス&ビーツティコ」など、打楽器が躍動するノリノリの楽曲もたっぷりと堪能できる。取材・文:柴田克彦©JUNICHIRO MATSUOら、前記2枚のCDもリリース予定で、23年3月の東京・春・音楽祭ではバッハの無伴奏全曲も披露するなど、本公演は充実一途の中で行われる。 「今しかできない挑戦を、素晴らしい舞台でさせていただけるのが楽しみです。ぜひ多くの方に聴いていただき、温かく見守ってほしいと思っています」 そう語る通り、弦楽器ファンならずともこの果敢なステージを生体験したい。BUNKYO SIENA POPS 小ホール特別編〈第4回〉誰もが知るあのメロディをサクソフォンの美音と打楽器のリズムにのせて文:笹田和人  「BUNKYO SIENA POPS」は、日本のトップ・ブラス集団であるシエナ・ウインド・オーケストラの演奏で、1950~60年代にスクリーンやテレビ、ラジオ、レコードを通じて一世を風靡したヒット曲をフィーチャーする文京シビックホールのシリーズ。大ホール休館中に実施している小ホールでの「特別編」第4弾は、日本を代表するサクソフォン奏者・須川展也と、シエナのサクソフォン&打楽器セクション「シエナ・サックス&ビーツ」が、好評だった第3弾に引き続いてのスペシャル・コラボレーション。多彩なナンバーを自在に吹き尽くす。

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