eぶらあぼ 2023.1月号
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第151回 東京オペラシティ定期シリーズ 1/26(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第978回 サントリー定期シリーズ  1/27(金)19:00 サントリーホール第979回 オーチャード定期演奏会 1/29(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール12/23(金)発売問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp1/11(水)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com51家の代表作を対照する、あるいは類似点もある2人の共通性を体感する楽しみも味わえる。 チョン・ミョンフンは、東京フィルでベートーヴェン、ブラームス、マーラーといった独墺の作曲家を度々取り上げ、数多の快演を展開してきた。“凄み漂う円熟の味”で魅せた21年のブラームス交響曲全曲演奏の記憶も新しい。シューベルトはコンビ初期の稀有の名演、ブルックナーでは交響曲第8番の重量感のある表現が忘れがたく、特に後者の、低弦を厚くした編成によるダイナミックで壮大なパフォーマンスは、他では聴けぬものだった。今回の2曲は、マエストロが得意とする“歌”に溢れた交響曲である点が、まず期待値を放送交響楽団やパリ管弦楽団ほか、著名楽団との共演も多い実力者。レコーディング活動も旺盛で、バロックから20世紀作品まで幅広いレパートリーを誇る。そのシュテッケルの十八番がコダーイの無伴奏チェロ・ソナタ。高度な技巧によりチェロの表現の可能性を突きつめると同時に、内省的で叙情的ユリアン・シュテッケル ©Marco Borggreveな性格を持った傑作である。 バッハの「ゴルトベルク変奏曲」はシトコヴェツキ編曲による弦楽三重奏版での演奏だ。原曲は鍵盤楽器のための作品だが、弦楽三重奏版では各声部の絡み合いが一段と明瞭になり、原曲にはない歌謡性が浮き彫りになる。日独の名手共演を楽しみたい。チョン・ミョンフン ©上野隆文上げる。そして、熟成の度合いを増し、コロナ禍で絆をさらに深めた今の当コンビが、いかなる音楽を生み出し、いかなる感動を与えてくれるのか? 実演に足を運ばずにはおれない。山根一仁 ©K.MIURA原ハーゼルシュタイナー麻理子©Xiomara Bender文:柴田克彦トッパンホール ニューイヤーコンサート 2023年の初めもトッパンらしい本格派プロで、日独名手たちの妙技に酔う文:飯尾洋一 「ニューイヤーコンサート」といえばウィンナ・ワルツやポルカ、あるいは肩の凝らないポピュラー名曲などが並べられるのが一般的。色とりどりの料理を並べた「おせち料理」的な楽しみ方が前提になっている。しかしトッパンホールの「ニューイヤーコンサート」はまったくノリが違う。「新年だからこそガッツリと肉食しようぜ!」と言わんばかりに気合の入ったプログラムを毎年用意してくれる。 2023年の年明けに登場するのは、ユリアン・シュテッケルのチェロ、山根一仁のヴァイオリン、原ハーゼルシュタイナー麻理子のヴィオラ。コダーイの無伴奏チェロ・ソナタと、バッハ(シトコヴェツキ編)の「ゴルトベルク変奏曲」という本格派のプログラムが組まれた。 ドイツ出身のチェロ奏者、ユリアン・シュテッケルは2010年ARDミュンヘン国際音楽コンクール第1位など輝かしいコンクール歴を誇り、バイエルンチョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団成熟の名コンビで聴くウィーン交響曲の真髄 東京フィルと名誉音楽監督チョン・ミョンフンの関係は、やはり“スペシャル”だ。2022年の2つの公演、5月のフランスもの─なかでもドビュッシー「海」─、10月のヴェルディ《ファルスタッフ》は、共に緻密さと生気と味わいに充ちた、彼らにしか表出し得ない名演だった。 それゆえ2023シーズンのオープニングにマエストロ・チョンが登場するのは嬉しい限りだ。演目は、シューベルトの交響曲第7番「未完成」とブルックナーの交響曲第7番(ノヴァーク版)が並んだ“王道の7番プロ”。いずれも各作曲家の交響曲中、最もメロディアスな名作だけに、年の初めから流麗で美しい管弦楽演奏を堪能できるし、ウィーンで活躍したロマン派初期と後期の作曲

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