41が向上。高3になった今年はクラリネットの首席奏者とコンサートミストレスを務めてきた。 多聞と菜津美はともに尼崎双星高校吹奏楽部の主力メンバーとして今年、高校生活最後の吹奏楽コンクールに挑んだ。目標は、夢にまで見た「吹奏楽の甲子園」、全日本吹奏楽コンクール出場だ。 尼崎双星は2016年から5大会連続で関西大会に進出。18年と21年には全国大会出場にあと一歩と迫る金賞に輝いた。だが、強豪がひしめき合う関西の壁は厚かった。 11月3日、文化の日。尼崎市のあましんアルカイックホールで尼崎双星高校吹奏楽部の第12回定期演奏会が行われた。 定期演奏会は1年間かけて技術や表現、チームワークを高めてきた吹奏楽部が成果を披露する場であり、多聞たち3年生にとっては3年間の活動の集大成。部を卒業する「卒部」の舞台でもある。 演奏会では、宮嵜三千男先生の指揮で思いのこもった《サロメ》の「7つのヴェールの踊り」などを奏左より:宮嵜三千男先生、田根菜津美さん、三木多聞さん 今年も関西大会に出場した尼崎双星は、自由曲にリヒャルト・シュトラウス作曲 楽劇《サロメ》より「7つのヴェールの踊り」を演奏した。多聞と菜津美は演奏面でもリーダーシップを発揮し、大作曲家の名曲を豊かなサウンドで披露した。「全国大会初出場もあるんやないか!?」 多聞はそんな手応えを感じた。結果は2年連続の金賞。だが、関西代表には選ばれなかった。「木管セクションリーダーとしてイメージをつくり上げてきたのに。結果につながらなかった…」 菜津美は悔しさを噛み締めた。で、多聞が大好きなマーチングも披露した。そして、最後に3年生は後輩が演奏する「生命の奇跡」に送られながらステージを後にした。「後悔なく、胸を張って終わることができた!」「親やピアノの先生に部活を反対されたこともあったけど、最後までやりきってよかった!」 ふたりは清々しい気持ちで卒部を果たした。 これから音楽大学というさらに高いレベルで音楽を学ぼうとしているふたり。支えてくれるのは吹奏楽部での経験だ。「プロとして活躍するなら、個人の力はもちろん、オーケストラやピアノの伴奏と合わせる力も大事。吹奏楽で学んだことが活かせそう」「前の私はピアノでうまく感情を出せなかったけど、吹奏楽で経験した『歌う演奏』がピアノでもできるようになった。吹奏楽のおかげかな」 吹奏楽で身につけた力とともに、多聞と菜津美は広大な「音楽」の海へと旅立とうとしている。 ♪♪♪♪♪♪拡大版はぶらあぼONLINEで!→11月3日の定期演奏会(リハーサル)より11月3日の定期演奏会(リハーサル)より
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