1/26(木)、1/27(金)、1/28(土)、1/29(日)各日14:00びわ湖ホール 中ホール 新年を迎える大晦日にわがままな女王が、4月に咲くマツユキ草がほしいと言い出す。ほうびに目がくらんだ継母に言いつけられたある娘が、真っ暗な森に向かわされる。娘がそこで出会ったのは12の月(つき)の精たちだった。 林光作曲のオペラ《森は生きている》は1954年に林自身が手がけた劇音楽がもとになっている。ロシアの詩人で児童文学作家のサムイル・マルシャークによる同名の戯曲につけられた音楽だ。 びわ湖ホールにとってオペラ《森は生きている》は大切な作品。繰り返し上演され、この劇場の歴史を育んできた。林のオペラ活動の拠点であった「オペラシアターこんにゃく座」で1992年に初演されたこのオペラは、びわ湖ホールでの上演に際して、こんにゃく座での基本形であった歌手たちとピアノだけの演奏というものから、新たに同ホールオリジナルの室内オーケストラ版が制作された。オーケストレーションは作曲者の指定で吉川和夫が担った。 その初回となった2000年2月の公演は現在の「オペラへの招待」シリーズの前身となる「青少年オペラ劇場」シリーズの第2弾だった。初代芸術監督である若杉弘の指名で、このシリーズを開始当初から指揮していたのが沼尻竜典だ。ここから沼尻とこの劇場の関わりが始まった。その後、2000年10月、03年10月、07年2月と《森は生きている》の指揮に沼尻は当たっている。また2009年には作曲者である林光自身、さらに12年には林作品を多数手がけてきたピアニストで、自身も作曲家である寺嶋陸也が指揮台に立ち、19年の前回も寺嶋の指揮で「オペラへの招待」シリーズにて上演された。2018年度《森は生きている》公演 このシリーズでは「青少年オペラ劇場」として開始した当初から、びわ湖ホールの専属声楽家集団であるびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーが主要キャストに起用されてきた。多くの歴代メンバーが「特別な作品」と口を揃えて言うのが、この《森は生きている》だ。今回の上演では沼尻が2023年3月で16年務めてきた同ホールの芸術監督の任期を終えるにあたって、久々にこのオペラの指揮を務める。「同窓会のような気持ちで」と沼尻が言うように、ダブル・キャストの一方には現在びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバーとして活躍中の、かつての所属メンバーが数多く起用された。演出を担うのは中村敬一で、増田寿子の美術、半田悦子の衣裳ともども、これらは初回からずっと育まれてきたものだ。 1998年9月に開館したびわ湖ホール24年の歴史の中で、若杉弘、沼尻竜典という歴代の芸術監督は、ヨーロッパのオペラの王道に連なる演目をホールの顔として取り上げてきた。前者はヴェルディ初期作品、後者はワーグナー主要作品だった。そこに並んで、違った意味でびわ湖ホールの看板となってきたのが、まさにこの《森は生きている》なのだ。関わってきた人すべての思いが込められたプロダクション。劇中で歌われる〈一瞬のいまを 千秒にも生きて このうれしさを 胸にきざもう〉という言葉どおりに、再びあの奇跡の時間の中に身を置くことができる幸せを噛みしめたい。文:小味渕彦之沼尻竜典中村敬一 ©Keiichi KIMURAびわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロを披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーでは、びわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホール オペラへの招待 林 光作曲 オペラ《森は生きている》作曲者自身から指導を受けて創ってきた“びわ湖ホールの財産”となるオペラ作品
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