Hakuju サロン・コンサート vol.12 アン・セット・シス 山中惇史 & 高橋優介12/19(月)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp12/21(水)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール12/26(月)19:00 王子ホール問 ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ 03-3787-5106 https://y-m-a.com57Interviewアン・セット・シス 山中惇史 & 高橋優介(ピアノ、作曲・編曲)独自の感性で紡ぐ唯一無二の響き 「アン・セット・シス」は、フランス語で数字の176。ピアノ2台分の鍵盤数をデュオ名に掲げ、山中惇史と高橋優介が活動をスタートしたのは2019年だ。山中「2018年の仙台クラシックフェスティバルで高橋さんと出会い、彼の演奏を聴いて僕から声をかけたのがアン・セット・シス結成のきっかけでした」高橋「お誘いはとても嬉しかったですね。僕が目指したいと思う方向性が、山中さんの音楽にある。アン・セット・シスの音楽は、お互いの個性を際立たせるというよりは、デュオとして統一感のある響きを大事にしたいと考えています」 山中は32歳、高橋は28歳。アン・セット・シスは結成から3年が経った。レスピーギの「ローマ三部作」を世界で初めて2台ピアノ版に編曲・披露し、アレンジ譜の出版もなされた。またジョン・ウィリアムズの音楽を編曲したアルバムが話題となるなど、着実に歩みを進めてきた印象だ。山中「この3年でお互いの得意不得意などがよくわかり、うまく役割分担ができるようになってきた。いろいろなホールとピアノで演奏させてもらう機会もいただいて、対応力も付いてきたと感じますね」 12月19日のHakuju Hallのサロン・コンサートは、クリスマスを意識した編ねているだけに、息の合った奥深い音楽を聴かせてくれること間違いなし。モーツァルト唯一の短調ソナタ、明快で意外にテクニカルなメンデルスゾーンのソナタ、超絶技巧のパガニーニの奇想曲第24番、近代フランスを代表するサン=サーンスの豊麗なソナタと、タイプの異なる4曲が並ぶプログラムもメリハリが効いていて飽きさせない。さらに今回は、東京、大阪の両都市で公演と意気込みも十分だ。ここはひとつ、脂の乗った実力者たちのデュオを聴いて、心豊かな年末を過ごそう。曲作品を披露する。チャイコフスキーの組曲「くるみ割り人形」だ。高橋「組曲版をベースとしながら、バレエ音楽の中からも曲を増やすことを視野に入れ、目下アレンジを進めています」 華やかでありながら、知性と気品の漂うアン・セット・シスの編曲と演奏。アレンジ作業はどのように進めているのだろうか。山中「ベースとしては、基本の編曲をどちらかが担当し、その段階では楽譜に半分くらいしか書いていません。そこから二人で実際に演奏しながら肉付けをしていきます。結果として、原曲のオーケストラ版では埋もれていた部分がより立体的に提示できたり、ピアノの良さも生きた音楽になったりするとよいなと思っています」 コンサートでは、2台ピアノのために書かれた名曲も披露する。高橋「冒頭にモーツァルトの有名な2台のピアノのためのソナタを取り上げます。ピアニストの力量が出てしまう作品なので、緊張感はありますね」山中「締めくくりは、ラヴェルの『ラ・ヴァルス』です。こちらも2台ピアノの古典と言える作品です。既存の作品への畏怖を忘れたくないですし、レパートリーを拡大させていきたいです」 Hakuju Hallは「日本屈指のホールとピアノ」と目を輝かせる二人。クリスマス・シーズンのひとときを、176鍵の華やかな響きに包まれて過ごしたい。左より:長原幸太 ©読売日本交響楽団/田村 響左:高橋優介 右:山中惇史 ©Takafumi Ueno取材・文:飯田有抄文:柴田克彦長原幸太(ヴァイオリン) & 田村 響(ピアノ) デュオ・リサイタル大人の二重奏で迎える豊穣な年の瀬 年の暮れに大人の二重奏を聴くのも悪くない。そう思わせてくれるのが、ヴァイオリンの長原幸太とピアノの田村響のデュオ・リサイタルだ。長原は、読売日本交響楽団のコンサートマスターを務めながら、様々な楽団のコンマス、室内楽、ソロで活躍中。田村も、2007年ロン゠ティボー国際コンクール優勝後、内外で幅広い活動を続け、ソロのみならず室内楽での絶妙な合わせも高く評価されている。共に確かな技術と多彩な表現力を併せ持ち、しかもこれまでデュオや室内楽で共演を重
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