eぶらあぼ 2022.12月号
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第963回 定期演奏会Aシリーズ 12/19(月)19:00 東京文化会館第964回 定期演奏会Cシリーズ 12/20(火)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp第20回東京音楽コンクール 優勝者コンサート今後いっそうの活躍が期待される新鋭4名の熱演 去る8月、今年は声楽・ピアノ・金管の3部門で開催され、第20回の節目を迎えた東京音楽コンクール。その優勝者たちが成人の日に顔を揃える。 声楽部門第1位は池内響(バリトン/東京藝大卒・同大学院修了)。「声よし、歌よし、姿よし」(大島幾雄審査員長)と評された豊かな声と恵まれた容姿で、《ジャンニ・スキッキ》《フィガロの結婚》《ドン・カルロ》と、多様なキャラクターのアリアを。本選ではリストの協奏曲を鮮やかに弾いて「大きな空間を目指す輪郭のはっきりしたピアノ」(野平一郎審査員長)と評価されたのはピアノ部門第1位の中島英寿(桐朋学園大卒・同ソリスト・ディプロマコース在学)。今回はグリーグの協奏曲を披露する。毎年ますます高水準になっている金管部門は二人が第1位を分け合った。本選のR.シュトラウスのホルン協奏曲第2番の美しい音色が高評価を得た吉田智就(ホルン/東京音大卒・同大学院科目等履修生在籍)は同じシュト2023.1/9(月・祝)15:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp51エリアフ・インバル ©堀田力丸イツ響と共演してレコーディングしている。現在のヘルムヒェンの充実ぶりを知るには格好の選曲だろう。 2022年はフランク・イヤーでもある。メインプログラムにフランクの交響曲が置かれるのは、12月10日に作曲者の生誕200年を迎えることを祝ってのことだろう。いくぶん作風が渋い池内 響を披露してくれそうだ。 共演は高関健指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。今年も「コンサート・ソムリエ」のフリーアナウンサー朝岡聡が司会を務め、優勝者たちの素顔を引き出してくれるのも楽しみ。マルティン・ヘルムヒェン ©Giorgia Bertazziためか、記念の年にしてはフランクが話題になる機会は少なかった気もするが、代表作である交響曲ニ短調はフランスの交響曲史の金字塔とでもいうべき大傑作だ。循環形式を用いた堅固な構築感とダークサイドのロマンの融合はこの作曲家ならでは。重厚にして壮麗な響きを堪能したい。中島英寿ラウスの協奏曲第1番を吹く。高い技術で、名手・津堅直弘審査員長をして「驚いた」と感嘆させた河内桂海(トランペット/東京藝大4年)はトマジのトランペット協奏曲。本選のデザンクロに続く20世紀作品。現代の名曲でスリリングな妙技吉田智就文:飯尾洋一文:宮本 明河内桂海エリアフ・インバル(指揮) 東京都交響楽団ベートーヴェン最後のピアノ協奏曲とフランクの傑作交響曲 12月の東京都交響楽団を指揮するのは、長年の信頼関係で結ばれた桂冠指揮者エリアフ・インバル。巨匠が一年の掉尾を飾る。 第963回および第964回定期演奏会で組まれたプログラムは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」とフランクの交響曲ニ短調。華麗にして端正な古典派協奏曲と暗い情念が渦巻くロマン派交響曲が好対照をなす。 「皇帝」では1982年ベルリン生まれのマルティン・ヘルムヒェンがソリストを務める。2001年にクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝を果たし、ベルリン・フィルやウィーン・フィルをはじめとする名だたるオーケストラと共演を重ねてきた実力者である。来日の機会も多く、ドイツ・オーストリア系のレパートリーを中心に、知性と情熱のバランスがとれた演奏により作品本来の魅力を伝える。近年、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集をアンドリュー・マンゼ指揮ベルリン・ド

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